土居のゴールで1-0と勝利!準決勝へ進出!
天皇杯準々決勝でアントラーズはHonda FCと対戦した。前半はHonda FCのアグレッシブさに苦戦し、シュート数わずか1本と苦しんだ。後半に入っても、厳しい戦いを強いられたアントラーズだったが、65分に遠藤のクロスから土居が頭で合わせてゴールネットを揺らす。リードを奪った後は、Honda FCの猛攻に晒される時間帯が続いたが、チーム一丸となった守備で凌ぎ切り、このまま1-0のスコアで勝利した。これでアントラーズは2年連続となる天皇杯準決勝進出を決めた。
5日前の明治安田J1第29節アウェイ松本戦、開始早々にコーナーキックの流れから先制点を献上してしまったアントラーズは松本の堅い守備に苦戦し、チャンスをつくれないまま前半を終えた。後半から選手交代と陣形変更を行い、試合の流れを引き寄せたものの、反撃は上田のPKによる1点にとどまり、1-1のドロー決着となった。
指揮官は試合を振り返り、「前半は非常に不甲斐ない試合だった。後半は支配することができたが、勝つためにアルウィンに来た姿勢を前半からしっかりと見せなければいけなかったと反省している」と、悔しさを滲ませて語った。
しかし、ネガティブな要素だけではない。後半は怒涛の攻撃で松本をあと一歩のところまで追い詰め、試合終了のホイッスルが鳴るまで全力で勝利を目指した。指揮官は「最後の最後までサポーターと一緒に戦ってくれたことを評価したいと思う」と選手たちが見せた後半の戦う姿勢を称えていた。
チームは1日のオフを挟んで、日曜日から練習を再開した。指揮官はミーティングで「Honda FCは侮ることのできない相手となる。相手のウィークポイントをしっかり突いて、自分たちがゲームを支配していこう」と選手たちに伝えた。チームは再び一丸となり、リスペクトをもって戦うことを誓った。
迎えた試合当日、キックオフ約1時間前に先発メンバーが発表された。GKは守護神クォン スンテ、最終ラインは右から伊東、チョン スンヒョン、町田、小池が入る。ボランチは永木と名古がコンビを組み、サイドハーフは右に遠藤、左に白崎、前線は土居と有馬が務めた。ベンチには、曽ケ端、内田、小田、関川、小泉、レアンドロ、山口が座る。有馬はプロ入り初の先発出場となった。
19時04分、キックオフのホイッスルが鳴った。
立ち上がり、前半4分にアントラーズはピンチを迎える。Honda FCの佐々木に左サイドをドリブルで崩されると、クロスを上げられ、ファーサイドで古橋にボレーシュートを打たれてしまう。これは枠に飛ばず失点には至らなかったが、いきなり肝を冷やす場面をつくられてしまった。
ピンチを凌いだアントラーズは、Honda FCの隙を探してボールを動かしていく。アントラーズが攻勢で試合を進めていった。
しかし、前半序盤はボールを支配していたアントラーズだったが、フィニッシュに至るまでの最後の局面でミスが重なり、シュートまで繋げることが出来ない。前半25分を経過したあたりからは、Honda FCが攻撃する時間が長くなっていった。
ゴール前まで迫ることが出来ないアントラーズだが、40分にチャンスをつくる。遠藤からのパスを受けた名古が、後方からドリブルでペナルティエリア内まで進入し、マイナスのクロスを入れる。ボールは白崎のもとへ通ったかに思われたが、直前で相手選手にクリアされ、惜しくも白崎はシュートすることが出来なかった。
さらに42分、アントラーズが再びチャンスをつくる。左サイドから小池が右足でクロスを上げると、ファーサイドで有馬が折り返し、最後は土居が頭で合わせた。シュートは枠を捉えたが、惜しくも相手GKの正面に飛び、キャッチされてしまった。
このまま、前半は0-0のスコアで終了し、ハーフタイムを迎えた。Honda FCのアグレッシブなプレーを前に、アントラーズはシュート数わずか1本と苦戦を強いられた。
後半開始からアントラーズは選手の配置を変更する。白崎と名古のポジションを入れ替え、白崎がボランチ、名古が左サイドハーフに入った。
Honda FCは後方から小気味良いテンポでボールを繋いで攻撃を仕掛けてきた。アントラーズは連続してボール保持者に寄せるが、なかなか奪いきることができない。50分を超えたあたりからは、立て続けにミドルシュートを許してしまった。
厳しい展開が続いたアントラーズだったが、ワンチャンスをものにする。65分、右サイドでボールを受けた遠藤が、内側にドリブルで運び、左足で絶好のアーリークロスを入れる。このボールをペナルティエリア内で土居がヘディングでうまく合わせ、ゴールへと流し込んだ。苦しい時間帯を我慢したアントラーズが先制に成功する。
しかし、得点直後に決定的なピンチが訪れる。67分、右サイドで攻撃の起点をつくられると、ペナルティエリア手前でボールを左サイドへと流され、最後は佐々木にペナルティエリア内でシュートされてしまう。ゴールポストをかすめる際どいシュートになったが、枠内には飛ばず、失点には至らなかった。
70分、アントラーズは一人目の選手交代を行う。小池との交代で小泉をピッチへ送った。小泉はそのまま小池が務めていた左サイドバックのポジションに入った。
77分には2人目の選手交代を行う。遠藤に代わって山口を投入した。山口はそのまま右サイドハーフのポジションに入った。
試合終盤はHonda FCの猛攻を凌ぐ展開となった。83分、ペナルティエリア内左から遠野に滞空時間の長いクロスボールを入れられると、ゴール前で佐々木にヘディングシュートを許す。失点覚悟の決定的ピンチだったが、シュートはポストに跳ね返り、ゴールラインは割らなかった。
87分にも決定機をつくられてしまう。ペナルティエリア内右の深いエリアまでドリブルで進入され、マイナスのクロスを入れられると、ゴール前で大町をフリーにしてしまい、シュートされた。決定的な場面だったが、幸いにも大町のシュートは枠を外れて右に逸れ、失点には至らなかった。
最後までHonda FCの猛攻を受け続けたアントラーズだったが、チーム一丸となって凌ぎ切り、1-0のスコアで試合終了のホイッスルを聞いた。決して良い内容とは言えない試合だったが、結果こそ全てだろう。これで、2年連続となる天皇杯ベスト4進出が決定した。
シーズン終盤戦に突入し、非常に厳しい戦いが続いているが、前を向いて戦い続けるしかない。次の明治安田J1第30節ホーム浦和戦に向けて、最善の準備を進めていく。
【この試合のトピックス】
・有馬がプロ入り初の公式戦先発出場
・土居が今大会初ゴール
入場者数 6,660人
天候 晴、弱風 気温 19.3℃ / 湿度 74.0%
ピッチ 前面良芝、乾燥
主審 松尾 一
副審 西尾 英朗 中野 卓
追加審判 柿沼 亨 鶴岡 将樹
第4の審判員 堀越 雅弘
監督コメント
ハーフタイム
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手が食いついてきたあと、裏のスペースを効果的に使うこと。
・スペースを作るためのパス回し、動きをもっと意識しよう。
・前を向いたら積極的に仕掛け、シュートを打っていこう!
Honda FC:井幡 博康
・仲間を信用してプレーをしよう!
・もっとマイボールの時間を増やすこと。
・自信をもって、積極的にやろう!
試合後
鹿島アントラーズ:大岩 剛
台風の被害がある中で、スタジアムに来てくれたサポーターには感謝している。みなさんの声援が、次のラウンドに進む力になったと思っている。試合内容はHonda FCが素晴らしい戦いをしたことによって、自分たちが主導権を握る時間が少なくなった。難しい試合となることは想定していた。その中でも勝ち切れたことを評価して、次のラウンドに進むための準備をしていく。
Q. 前日は悪天候でセットプレーの確認ができなかったが、どのように確認をしたのか?
A. セットプレーの守備のところで失点が多かったので、ミーティングで時間をかけて対策をした。選手が集中してやってくれたし、次につながる対応をしてくれたと思う。
Q. 名古選手と白崎選手のポジションを変えたが、その意図と成果は?
A. 守備のところと攻撃のスイッチをなかなか入れられなかったので、ポジション変更をした。よく対応してくれたと思う。2人だけでなく周りの選手も対応してくれたが、Honda FCが素晴らしい姿勢でアグレッシブにプレーしていたので、支配することができなかった。しっかり反省して、次につなげていきたい。
Honda FC:井幡 博康
選手はがんばってくれたが、自分のチームマネジメント不足でやられてしまった。自分の反省ばかりで申し訳ない。リーグ戦も続くので、4連覇を獲得できるようなチームにしていきたい。負けてしまったのは悔しい。もう一回強くなって、再度、アントラーズと戦いたいと思う。
選手コメント
試合前
【土居 聖真】
JFLかもしれないが、ここまで勝ち上がってきているという事実がある。そういう部分が天皇杯の楽しさであり、難しさでもある。カテゴリー関係なく、同じ立場として試合に臨んでいきたい。
【永木 亮太】
Honda FCはカテゴリーが違うけれど、とても力のあるチーム。選手も個々の技術が高くて、サッカーも相手によって変えることができる。油断をしている選手はいない。気を引き締めて、試合に臨んでいく。
【名古 新太郎】
トーナメントなので、まずは結果にこだわっていく。JFLだが、それは全く関係ない。個々の技術があって、しっかりパスをつないでくるチーム。浦和からも、パスで崩して点を取っている。自分たちは受け身にならず、積極的かつシンプルにプレーしていくことが大事になってくる。
【町田 浩樹】
カテゴリーは違うが、浦和に勝利したりと力のあるチーム。去年の対戦からさらにレベルアップしている。なので、去年とは一味違う戦いになってくると思う。まったく油断はしていないし、一発勝負なので、しっかりと勝利を意識して試合を進めていきたい。
【伊東 幸敏】
カテゴリーが違うチームとの対戦だが、Honda FCはJクラブと戦って、勝利してきている。かなりの強敵になると思って、自分たちは準備をしている。チームとして、みんながコンセプトを理解している。個人的には、積極性をピッチで表現していきたい。
【有馬 幸太郎】
点を取る。そして、チームのためにプレーをすることもしていかなければいけない。その中でも意識することは、自分が点を取って勝つということ。ここで結果を残すことができれば次につながってくる。そのために、まずは結果を出すこととチームの勝利だけを意識して戦っていきたい。
試合後
【土居 聖真】
今日は後方に下がることなく、前線でクリアボールなど意図的なボールではないボールもマイボールにできるようにと意識していた。そこができた時とできなかったときがあったので、もっと精度を上げていけるようにしていたい。惜しいところまでは行けていたけど、決定機はほとんどなかった。その少ないチャンスを決めきらなければいけないという意識が逆に良かったのかなと思う。
【名古 新太郎】
ボランチとサイドハーフとではまた役割が違ったが、自分は与えられたポジションでその役割を遂行しようと思っていた。チームに推進力を与えるために、どんどん前に出て、仕掛けていこうと意識してプレーをしていた。Honda FCは力のあるチームだった。今日は、勝利できたというところにフォーカスしていきたい。
【町田 浩樹】
Honda FCは、堅実でいいチームだった。もっと全員がレベルアップをしていかなければいけない。このままでは、タイトルは獲れない。前半は単純なミスが多かったし、それによってリズムが作れないことがあった。結果的に、次のステージに進むことができたことがよかった。
【伊東 幸敏】
今日よかったといえる部分は、勝ったというところだけ。まだ、重要な試合は続いていく。このような試合をしていては、勝つことはできない。また一からみんなで取り組んでいきたい。個人的にはやれるなという感覚はなかった。最後のところで集中力を欠いてしまうと、「パスを回させている」から「パスを回されている」に変わってしまう。その最後の部分をみんなでどうやって守っていくのかが、これからも大事になってくる。
【小泉 慶】
相手の方が勢いがあったので、守備からしっかり試合に入っていこうと思っていた。どこかでチャンスがあったら得点を狙っていた。シュートは枠に行かなかったが、今後も、あれぐらい思い切ってプレーしていかなければいけないし、シュートの質も高めていかなければいけない。
【有馬 幸太郎】
勝ててよかった。もう少し積極的にプレーしたかった。どこかミスをしないようにというのがあった。今回、チャンスは一本だったが、もっとその回数を増やして、その一本を決めるために、練習から意識していきたい。
◆天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会 準々決勝(オフィシャル)