日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年2月5日水曜日

◆鹿島のACL脱落の余波か…天皇杯を巡るJリーグの苦悩を韓国人選手や監督も言及(スポーツソウル)







鹿島アントラーズがJリーグ発足後、初めてアジアチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフで脱落したことで、天皇杯(全日本サッカー選手権大会)にも飛び火している。

天皇杯の決勝は毎年1月1日の新年初日に行われているが、出場チームが他のチームより冬の休息期が短く、新しいシーズンの準備に支障を来たすという話だ。

日本の天皇杯は1921年に始まり、100年近い歴史を誇る。Jリーグのチームはもちろん、下部リーグのチームまで参加するが、他の国のFAカップと類似している。

しかし、決勝戦の時期が独特だ。1969年49回大会から毎年1月1日、日本サッカーの聖地と呼ばれる東京・国立競技場で開かれてきた。

今年も先月1月1日、新国立競技場のこけら落としを兼ねてヴィッセル神戸と鹿島アントラーズが優勝カップを競った。

試合は神戸が鹿島を2-0で抑えて優勝し、ACL本大会に直行した。

鹿島は天皇杯の優勝は逃したが、昨季リーグ3位の資格でACLプレーオフの舞台を踏んだ。しかし1月28日、メルボルン・ビクトリーとのACLプレーオフで、ホームゲームだったにもかかわらず、0-1で負けた。

日本の複数のメディアによると、鹿島のクラブ関係者はACL脱落に悲痛な思いをし、天皇杯の日程について不満を示しているという。

ある関係者は日本メディアを通じて「既存選手と新しく合流した選手のコンディションから、あまりにも違っていた」とし、シーズン終了後の休息期が短くてチームが再整備できなかったことを強調した。

鹿島はACLプレーオフを行うまで4週間が経っていない時点で、選手団の再編が行われていた。主力選手は2週間休んで再びチームに合流したが、新たに加わったブラジル出身のエヴェラウドなどと呼吸を合わせる余裕がなかった。

2018年に鹿島でACL優勝を経験し、今年の冬に蔚山現代に復帰したDFのチョン・スンヒョンは「天皇杯までプレーする選手らはシーズンがあまりにも遅く終わるから、新しいシーズン序盤はコンディションの調節に苦しみ、小さな怪我も多くなる。ACLグループリーグなどで、日本の一部のチームが苦戦している理由もそれと無関係ではない」と指摘した。

鹿島だけでなく、天皇杯の決勝戦を戦ったチームは、新しいシーズンの成績があまり良くない。

2017年に天皇杯優勝を獲得したセレッソ大阪は翌年、ACLグループリーグで脱落した。2018年に天皇杯を手にした浦和レッズは、2019年シーズンのACLでは決勝進出の好成績を出したが、主力選手の体力配分に失敗して国内リーグでは14位に止まり、辛うじてJ1に残留した。

セレッソ大阪の天皇杯優勝をけん引した尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督は、「Jリーグではリーグ戦が12月初めに終わるが、天皇杯を勝ち上がるチームは3週間以上曖昧な状況に置かれる。安心して休むことも、練習だけに没頭することも難しい時期だ」という。

天皇杯の決勝戦は、以前から新年を祝う形で1月1日開催を固守してきた。

2014年の94回大会は日程を繰り上げて実施されたこともあるが、日本サッカー協会(JFA)は自国サッカーファンに「天皇杯決勝戦=1月1日」が興行コードのようになったという理由で、一定の変動を考慮していない。

昨年にも5万以上の観客が詰めかけた天皇杯決勝戦は、今年1月1日にも5万7597人の観衆が集まった。

日本のフリーランス記者である吉崎英二氏は「鹿島脱落が(天皇杯の日程をめぐって)さまざまな議論を呼んだのは事実だ。ただ特定チーム脱落のために、日程を変更することに反対の声もある」と話す。

JFAは今季の天皇杯決勝戦も2021年1月1日に開くとしている。


◆鹿島のACL脱落の余波か…天皇杯を巡るJリーグの苦悩を韓国人選手や監督も言及(スポーツソウル)




◆【G大阪】昌子、年俸1億円で複数年契約 完全移籍で強力DF陣そろう(報知)






 G大阪は3日、フランス1部トゥールーズから日本代表DF昌子源(27)を完全移籍で獲得したと発表した。この日、メディカルチェックを受け、契約書にサイン。背番号は「3」に決まった。関係者の話を総合すると複数年契約で、移籍金は交渉の末に200万ユーロ(約2億4000万円)で合意、昌子の年俸は1億円。5日に加入会見に臨む予定だ。

 昌子は19年1月に鹿島からトゥールーズに完全移籍。すぐにレギュラーポジションを奪うなど順調なスタートを切った。昨季は半年間でリーグ戦18試合に出場し、同年4月にはフランス代表FWエムバペらを擁する世界的強豪・パリSGとの対戦も経験したが、今季は足首や太ももの負傷に苦しみ、リーグ戦出場はわずか1試合にとどまっていた。

 コンディション面の問題を解決するために、日本での再起を検討。プロ生活をスタートさせた鹿島への恩義も感じていたが、チーム編成とのタイミングが合わず、かつてジュニアユース時代に所属したG大阪からのオファーに応じた。G大阪は日本代表DF三浦弦太、韓国代表DF金英権とともに強力なDFがそろうことになった。(金額は推定)

 ◆昌子 源(しょうじ・げん)1992年12月11日、神戸市生まれ。27歳。フレスカ神戸でサッカーを始め、G大阪ジュニアユースを経て米子北高へ進学。2011年に鹿島入り。対人守備、スピード、フィード力を備えたセンターバック。18年ロシアW杯では日本代表の主力として16強進出に貢献。19年1月にフランス1部トゥールーズに移籍。フランス1部19試合0得点、J1通算157試合8得点、国際Aマッチ18試合1得点。182センチ、76キロ。


◆【G大阪】昌子、年俸1億円で複数年契約 完全移籍で強力DF陣そろう(報知)

◆鹿島に痛手…DF内田篤人が右下腿三頭筋損傷で約4週間の戦列離脱(サッカーキング)



内田篤人 Atsuto.Uchida


 鹿島アントラーズは4日、DF内田篤人に関するメディカルレポートを発表した。

 内田は1日に行われた、いばらきサッカーフェスティバル2020で水戸ホーリーホック戦に出場。1-0で勝利したこの試合で65分に負傷交代でピッチを後にしていた。

 同クラブは4日に公開したレポートで内田の負傷状況について報告。右下腿三頭筋損傷で約4週間の治療期間を要すると発表した。

 鹿島は16日にJリーグYBCルヴァンカップAグループ第1節名古屋グランパス戦、23日に明治安田生命J1リーグ第1節サンフレッチェ広島を控えている。


◆鹿島に痛手…DF内田篤人が右下腿三頭筋損傷で約4週間の戦列離脱(サッカーキング)





◆鹿島アントラーズ、ACL敗退はJ1優勝へプラスか。DF陣&優良ブラジル人に期待大【2020年J1補強診断】(フットボールチャンネル)








2020年のJリーグが開幕する。新シーズンに向けJ1各クラブはどのような補強を行ったのだろうか。今回は、昨季天皇杯決勝進出を果たした鹿島アントラーズを取り上げる。


オフほぼなしの過密日程だが…


 Jリーグ史上初のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)プレーオフ敗退もやむなしだったか。元日に天皇杯決勝を戦っていた鹿島アントラーズは、ほとんど休みなく新シーズンに向けた準備を始めなければならなかった。

 主力と出場機会の少なかった選手たち、そして新加入組でそれぞれオフ期間の長さにバラつきがあり、先月28日に行われたAFC予選プレーオフのメルボルン・ビクトリー戦までに全員が揃って練習できたのは2週間足らず。

 コンディションを同じレベルまで調整することも、ザーゴ新監督の戦術をチームに浸透させるのも困難だったはずだ。こうしてACL本戦出場は逃したものの、新シーズンに向けてネガティヴな側面より、むしろポジティブな側面が大きいと言える。

 中国2部の長春亜泰へ移籍したMFセルジーニョをはじめ、レンタル元の名古屋グランパスへと戻ったMF相馬勇紀、母国韓国の蔚山現代FCへと去ったDFチョン・スンヒョンなど一部の実力者たちは抜けたが、新戦力の補強は彼らの穴を補ってあまりあるものとなった。

 例えば昨季は故障者続出で人員不足に陥ったサイドバックはリーグ屈指の陣容になっている。ベガルタ仙台から昨季10アシストのDF永戸勝也が加わり、左サイドで東京五輪世代のU-23日本代表DF杉岡大暉とポジションを争うことになるだろう。

 右サイドには横浜F・マリノスでJ1優勝を経験して逞しさを増したDF広瀬陸斗が加入した。また川崎フロンターレから移籍してきたDF奈良竜樹も含め、ディフェンスラインは充実のラインナップとなっている。当然ながら各選手の成長に大きな刺激を与えるであろう激しいポジション争いもある。

 中盤には攻撃的なポジションを幅広くこなせるMF和泉竜司を、他クラブとの競合の末に獲得。インテルナシオナルから加入したブラジル人MFファン・アラーノは抜群のテクニックと献身性を兼ね備えた今冬の補強の目玉だ。

 昨季ブラジル全国選手権1部で13得点を挙げた、同じく新加入の長身FWエヴェラウドを生かすことができれば攻撃の破壊力は昨年を超えられる。新ブラジル人助っ人たちのゴール量産が実現すればタイトル獲得は大きく近づける。

 全国高校サッカー選手権優勝の静岡学園から加わる快足ドリブラーのMF松村優太、同世代の高校No.1ストライカーと称された尚志高校出身のFW染野唯月、東福岡高校で10番を背負っていた司令塔のMF荒木遼太郎といった、向こう10年の鹿島を背負うことも期待される将来性豊かな高卒の若手選手たちの魅力も溢れる。

 昨季は天皇杯決勝でヴィッセル神戸に敗れ無冠に終わった鹿島。オフが極めて短かったことによるコンディション面への影響は懸念されるものの、今季は常勝復活を目指しザーゴ新監督を招へいし、すでにチーム改革は始まっている。ACL優勝の夢は絶たれてしまったが、充実の新戦力たちとともにJリーグの覇権奪回が最重要ミッションだ。


補強・総合力診断




IN
GK:山田大樹[鹿島アントラーズユース/昇格]
DF:奈良竜樹[川崎フロンターレ]
DF:広瀬陸斗[横浜F・マリノス]
DF:永戸勝也[ベガルタ仙台]
DF:杉岡大暉[湘南ベルマーレ]
MF:和泉竜司[名古屋グランパス]
MF:ファン・アラーノ[インテルナシオナル(ブラジル)]
MF:荒木遼太郎[東福岡高校]
MF:松村優太[静岡学園高校]
FW:エヴェラウド[ケレタロ(メキシコ)←シャペコエンセ(ブラジル)/期限付き移籍期間満了]
FW:染野唯月[尚志高校]

OUT
GK:川俣慎一郎[南葛SC]
DF:小田逸稀[FC町田ゼルビア/期限付き移籍]
DF:小池裕太[シント=トロイデンVV(ベルギー)/期限付き移籍期間満了→セレッソ大阪]
DF:チョン・スンヒョン[蔚山現代FC(韓国)]
MF:中村充孝[モンテディオ山形]
MF:セルジーニョ[長春亜泰(中国)]
MF:相馬勇紀[名古屋グランパス/期限付き移籍期間満了]
MF:山口一真[水戸ホーリーホック/期限付き移籍]
MF:レアンドロ[FC東京/期限付き移籍]
MF:久保田和音[未定]
FW:有馬幸太郎[栃木SC/期限付き移籍]

補強評価:A

 昨季人員不足に苦しんだディフェンスラインに実力者を続々と補強し、Jリーグ屈指のメンバーを揃えた。ザーゴ監督の持ち込む戦術、実績と実力を兼ね備えたブラジル人助っ人たち、フレッシュな高卒の才能たちと見るべきポイントは多い。ACL出場も見据えた補強を展開しており、連戦にも耐えうるチームを作り上げた。

総合評価:A

 各ポジションにレギュラークラスの選手を2人以上揃え、ベテランと若手のバランスもいい。セルジーニョが抜けたのは痛手だが、彼の場合は昨年からずっと移籍の噂がくすぶっていたうえ、代役となりうる選手も確保できている。ザーゴ監督の戦術が浸透し、新戦力の多いチームが組織として噛み合えば総合力はJ1屈指だろう。覇権奪回に向けて必要な駒が揃った感がある。

【了】






◆鹿島がどうしても欲しかった男。 MF和泉竜司「中核を担わないと」(Number)



和泉竜司 Ryuji.Izumi


 常勝軍団――。そのイメージはずっと抱いていた。だが、いざ鹿島アントラーズのユニフォームを着て初めてピッチに立ち、それに反する結果を突きつけられると、ズンと重いものがのしかかってきた。

 今季、名古屋グランパスから鹿島に完全移籍をしてきたMF和泉竜司の心境である。

 ACLプレーオフ、鹿島vs.メルボルン・ヴィクトリー。昨季J1リーグで3位だった鹿島は、ACLグループステージ進出に向けて、この一戦をホームで迎えた。激しい風と雨の中で行われた一発勝負は、0-1で敗退。2020年シーズン初戦、いきなりタイトルを1つ失った。

「いつの時も負けることは悔しいのは当たり前ですが、ショックな気持ちがとてつもなく大きいです。鹿島に来たばかりの僕がそこまで大きな衝撃を受けるということは、(三竿)健斗君や(土居)聖真さんのように長く在籍する選手はもっとショックだろうし、鹿島のファン、サポーターの声援を受け続けてきたからこそ、いろんな感情が込み上げているんだろうなと感じました」


ACL敗戦に「心から申し訳ない気持ち」


 この試合、和泉は左サイドハーフでスタメン出場を果たした。インサイド気味にポジションを取り、正確なボールコントロールとパスセンス、攻守の切り替えの早さを発揮して攻撃を活性化した。17分にはペナルティーエリア手前で強烈なシュート。相手GKのファインセーブにあったが、チームのファーストシュートで決定機を作り出した。

 だが、同じく今季新加入の左サイドバック永戸勝也との連係が徐々に噛み合わなくなる。さらに、今季から就任したザーゴ監督のサッカーを浸透させる時間が十分になかったことも重なり、チームとしての機能性が落ちていった。54分に失点を喫すると、72分にこの日チーム最初の交代を告げられたのは和泉だった。

「(天皇杯決勝が行われた)元日まで戦った選手はチームへの合流も遅くて、すり合わせる時間がなかったのは事実です。練習試合も1試合しかやっていないので、試合勘の難しさはありました。それでも、今日は内容どうこうよりも勝つことがすべての試合でした。その認識を持って臨んだのですが、メンバーに対してもそうですし、悪天候でもスタジアムに来てくれた人たちに、心から申し訳ない気持ちでいっぱいです」


器用だからこそ、悩んだ和泉。


 ザーゴ監督のサッカーは後ろからのビルドアップが求められる。特にCBとボランチの関係性からボールを持ち出し、両サイドバックを高い位置に上げる。両サイドハーフはインサイドにポジションを取ったり、縦のバランスを整えて、両サイドと前線の2枚にボールを供給しながら、ゴールに絡む。要するに和泉のポジションはビルドアップ、ポゼッション、そしてアタックの潤滑油にならないといけない重要な役割を担う。

 だが、チームが歩き出したばかりの状態で迎えた「負けてはいけない試合」では、想像以上に難しかった。どこまで落ちていいのか、近づいてきたサイドバックを中に入れるべきか、外で使うべきか。FWに対して近づけばいいのか、ギャップに立てばいいのか。戦術眼が高く、どのポジションも器用にこなせる和泉だからこそ、いろんな局面での選択肢が浮かぶが、今はまだどれを選択することがベストか見出せなかった。

「ザーゴ監督の狙いはキャンプで色濃く出ていたので、自分なりに理解していました。だからこそ、自分がいるべきラインを考えながらプレーしました。基本的にサイドハーフはなるべく落ちずに高い位置を取れとキャンプから言われていたので、そこは意識をしていましたが、ビルドアップのエラーがあった時に距離が遠くなり、そこからもう一度作り直す難しさはありましたし、最初はそうなるのは仕方がない部分もありました。ボランチがボールを持った時の顔出しやサポート、背後や3人目の動き。イメージはありましたが、出しきれずに交代となってしまった。

 自分はスタメンで出場しましたが、それはもともと在籍する選手たちの合流が遅れたことで人数がいなかったから。まだ本当の意味でのスタメン争いは始まっていない。90分間チームのために戦えなかったことは悔しさがあります。常勝軍団である鹿島にやってきて、最初にこの結果は本当に不甲斐ないです」


エリートが決断した初の移籍。


 和泉にとって今回の移籍はプロ入り後、初の経験だった。

 三重県四日市市出身の彼は、高校進学時に強豪・市立船橋高に越境入学。すぐにFWとして頭角を現すと、高校2年の時のインターハイでは得点王に輝いて優勝に貢献。最上級生になってからは「10番」を背負い、全国高校サッカー選手権大会優勝に導いた。

 当時からプロ注目の選手だったが、卒業後は明治大学に進学。右サイドハーフ、トップ下、FWなどでプレーし、攻撃的なポジションならどこでもこなすユーティリティープレーヤーとしての地位を築いていた。

 実はこの当時から鹿島は和泉に注目をしていたという。


和泉を追いかけ続けた鹿島。


「ひと言で表せば『何でもできる選手』。点にも絡める、周りも使える、技術もしっかりしている。サッカーIQがズバ抜けて高く、どうしても欲しい選手の1人だった」

 こう語るのは鹿島の椎本邦一スカウト部長だ。明治大でプレーする和泉の才能に心底惚れ込み、熱烈なオファーを出し続けたが、「ギリギリまで悩んだ」結果、和泉は名古屋を選んだ。

 名古屋では1年目からリーグ14試合に出場するも、チームはまさかのJ2降格。2年目の2017年からは不動のレギュラーとなり、1年でのJ1復帰に貢献するも、一昨年、昨年は2年連続で残留争いに巻き込まれる苦しいシーズンを過ごした。

 だが、その中で本来のトップ下やサイドハーフだけでなく、左サイドバックやウィングバック、ボランチ、3バックの一角など数多くのポジションをそつなくこなしつつ、昨シーズンはキャリアハイのリーグ戦6ゴールをマーク。絶大な存在感を放った。

 残留争いではなく、優勝争いをする。2020年シーズンを迎えるにあたって、名古屋にとって和泉は必要な戦力であることに変わりはなかった。

 だが、そんな彼の元に再び鹿島からオファーが届く。

「前回は振られてしまいましたが、名古屋に行ってからもずっと追いかけていました。名古屋ではいろいろなポジションをやっている姿を見て、『やっぱり彼は前でもっと輝かせたい』と。サイドバックなど、後ろのポジションでは、なかなか彼の特性は出ないと思うのですが、それでもある程度はやれている。どうしても欲しい存在には変わりありませんでした」(椎本スカウト部長)

 一度振られても諦められないほど、和泉は魅力的な存在だった。


名古屋が好きで、愛着もあった。


 熟考に熟考を重ね、和泉は鹿島移籍を決断する。

「鹿島がずっと自分を評価し続けてくれていることは、1人のサッカー選手としては素直に嬉しい。その一方で名古屋はフィッカデンティ監督も凄く僕を評価してくれていましたし、主力として考えてくれていた。ファン、サポーター、クラブの人たちからも必要とされているのも分かりました。社長も強化部もクラブスタッフなどいろんな人から、『残って欲しい』という熱い想いは伝わりましたし、凄く悩みました。

 (プロ生活の)4年という歳月はそんなに長くはありませんし、J2降格、2年連続の残留争いと、チームに大きな結果を残したわけではない自分に対して、そこまで想ってくれる人がたくさんいることには感謝しかありません。名古屋が好きで、愛着もあって、自分を変わらず必要としてくれる。居心地が良すぎるからこそ、『このままでいいのか』というモヤモヤがあった中で、鹿島という選択肢が生まれた。

 もちろん名古屋での今季の出番が確約されたわけではないことはわかっていましたが、新しい環境にチャレンジをしたい、リスクを背負ってでも自分の中で新たな刺激を入れたいという思いがこみ上げてきたんです」


「チームの核を担っていかないと」


 自らを奮い立たせる、奥底から湧き出るエネルギーを大事にしたい。チャレンジをすることは、さらなる飛躍を遂げるために大事なアクションだった。

「短いサッカー人生の中で、チャレンジする機会はそんなに多くないと思います。A代表に入る目標も自分の中では大きく、より成長したいという気持ちが強い。鹿島というクラブは誰が見ても、『チャレンジしに行くんだな』ということが伝わるクラブだと思う。鹿島じゃなかったら残留していたかなという思いは正直、あります。

 必要とされなくなって移籍したわけではないからこそ、新天地でより結果を出さないと叩かれるし、代表が遠ざかるリスクも当然ある。でも、それがあるからより反骨心というか、熱を持ってこの先のサッカー人生を歩いていけると思ったんです」

 大きな覚悟を持って踏み出した。だが、その一歩目で、厳しい現実を突きつけられた。メルボルン戦後、周囲の厳しい声を真摯に受け止め、同時に鹿島の一員になった覚悟を自らに強烈に問いかけた。

「僕は今、26歳。チームの核を担っていかないといけない年齢になってきた。だからこそ、鹿島でもただ出番を掴むだけでなく、下の年代を引っ張って、ベテランと融合させながら、チームを戦う集団として円滑に構築していかないと、本当の意味で鹿島に貢献するとは言えません。初戦でそこを強烈に痛感させられました」

 鹿島は、勝つことで評価されるクラブ。それが常勝軍団たる所以だろう。

「1つのタイトルを失った敗戦は、どんな理由であれ、とてつもなく重い。この重さを胸に刻んで、これから歩んでいきたいです」


◆鹿島がどうしても欲しかった男。 MF和泉竜司「中核を担わないと」(Number)





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