中国戦で4選手が代表デビュー、鹿島DF植田は唯一慣れないポジションで出場
日本代表は12日のE-1選手権第2戦で中国に2-1と勝利し、第1戦の北朝鮮戦(1-0)に続いて連勝した。中国戦で4人が代表デビューを飾ったが、不慣れな右サイドバック(SB)で起用されたのがDF植田直通(鹿島アントラーズ)だ。「思い切りやるだけだった」と言う23歳は、バヒド・ハリルホジッチ監督の起用意図を明かしている。
試合は終盤まで0-0のまま時計の針が進むなか、後半39分にFW小林悠(川崎フロンターレ)が華麗な反転シュート、同43分にDF昌子源(鹿島)が40メートル弾と、いずれも代表初ゴールを叩き込む。後半アディショナルタイムにPK献上で失点したものの、日本は2-1で勝利を収めた。
この中国戦で代表デビューを飾ったのが、DF三浦弦太(ガンバ大阪)、DF山本脩斗(鹿島)、MF土居聖真(鹿島)、そして植田だ。三浦、山本、土居の3人はいずれも主戦場で起用されたが、唯一慣れないポジションで起用されたのが植田だった。
所属する鹿島では昌子とともにCBコンビを組んでいる植田だが、待望の代表初出場は右SB。本人は「チャンスが来たと思って、思い切りやるだけだった」と振り返るが、本職ではないSB起用だっただけに、「まだまだというか、自分で納得していない」と反省の言葉を残している。
では、なぜ植田は右SBで起用されたのか。本人がハリル監督の意図を明かしている。
かつて武の道を歩いた求道者としての一面も
「22番(FWユー・ダー・パオ)は真ん中にいて僕はあんまり競ったりすることはなかったけど、監督の起用の意味はそういうものに対処するため」
中国は前線に186センチのFWシャオー・ジーや183センチのFWユー・ダー・パオらを起用し、高さを前面に押し出すスタイルで打開を図るなか、日本も対応策の一つとして右SBに植田を配置。試合後、ハリルホジッチ監督は「後ろの選手は中国の選手にパワーで対抗してほしいので、体格の良い選手を選びました」と語っている。結果的に植田は1対1では一定の強さを発揮し、守備で確かな感触をつかんだようだ。
「自分のところにきたものは絶対弾いてやろうという気持ちでいた。チーム全体で弾けたのは良かったと思う」
もっとも本人は「まだまだ。パスミスもあったし、クロス精度を上げれば得点につながるチャンスもあった」と、代表デビューを飾ってもどこか浮かない表情。小学校時代にテコンドーで日本一に輝くなど、かつて武の道も歩んでいた男は、ストイックに高みを目指す“求道者”の一面も覗かせている。
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大木 勇●文 text by Isamu Oki(Football ZONE web編集部)
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images
なぜ植田は不慣れな右SBで代表デビューしたのか? 本人が明かすハリル采配の意図