日刊鹿島アントラーズニュース
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2017年6月5日月曜日
◆2017明治安田生命J1リーグ 第14節(オフィシャル)
明治安田J1 第14節
大岩新監督の初戦、鹿島が広島を撃破!中村とレアンドロのゴールで勝ち点3を獲得!
新体制での歩みを始めた鹿島が、力強く初陣を飾った。大岩監督就任後の初戦となったJ1第14節、アウェイでサンフレッチェ広島と対戦すると、14分に中村、30分と43分にレアンドロがゴールネットを揺らし、3点リードで前半を終える。後半は攻勢に出た広島に押し込まれる時間が続いたが、1失点に抑えてリードを守り切った。3-1。リーグ戦3試合ぶりの勝利を収め、新指揮官の初陣で勝ち点3を獲得した。
鹿島は5月30日、AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16の第2戦で広州恒大に2-1と競り勝ったものの、2試合合計でのアウェイゴール数で及ばずに敗退することとなった。そして翌日、クラブは大きな決断を下した。石井正忠監督、解任。2015年夏の就任以来、3つの国内タイトルとクラブW杯での決勝進出を成し遂げた功労者から、大岩コーチに指揮権を託すことが発表された。アジア制覇という極めて大きな目標を失った今、チームに変化をもたらすことが進化と向上、そして次なる栄光へつながると信じ、鹿島は新たなるスタートを切った。
指揮官交代を告げられたチームは、責任と懸ける思いを胸にトレーニングへ打ち込んだ。熱を帯びる紅白戦では、今までとは異なる選手配置にもチャレンジ。ピッチに鋭い視線を飛ばす大岩監督の下、ポジション争いはさらに激しさを増していく。「監督が代わっても競争は当たり前。代わってからやる気を見せては遅いし、そのような選手はいない」と永木は語った。虎視眈々と出場機会を窺う伊東は「監督が代わって、全てが一からのスタート」と決意を述べている。個々の切磋琢磨の先に、再び勝利の日々が訪れると信じて。再出発へ、チーム一丸で準備を進めた。
就任から5日目で初陣を迎える大岩監督は「準備時間がないが、責任や覚悟は持っている」と不退転の決意を語った。「選手が積極的にやってくれて、ある程度は意図を伝えられたという感覚がある」と心境を明かした指揮官がチームに求めているのは、アグレッシブな姿勢を貫くこと。「引き分けではなく、常に勝ちに行く」。そう言って、大岩監督は広島へと発った。
新体制での初陣は、5日前から3名の先発メンバー変更が施された。右サイドバックに伊東、ボランチの一角に三竿健斗、2列目に中村を指名。また、今季は左サイドハーフが主戦場だった土居が2トップの一角で起用されている。その他、ゴールマウスにはクォン スンテが立ちはだかり、最終ラインは伊東とともに植田、昌子、山本が並ぶ。ボランチは健斗とともに永木がコンビを組み、2列目にはレアンドロが並んだ。ベンチには曽ケ端、ブエノ、西、今季のリーグ戦で初めてメンバー入りの梅鉢と久保田、そして小笠原、金森が控える。
青空に恵まれた広島に、アントラーズレッドの背番号12が足を運ぶ。日曜日に開催される遠方での一戦でも、サポーターは愛するクラブとともに再出発への一歩を踏み出す意志を示した。スタジアムに到着したチームバスに熱い声援が送られ、「一致団結 大岩アントラーズ」との横断幕とともに、ビジタースタンドから大きな大岩コールが降り注がれた。
14時3分、キックオフ。青空の下、ハイパーピンクの戦闘服を纏った選手たちが躍動する。とりわけ、2列目に入った中村とレアンドロが豊富なアイデアとテクニックを存分に見せつけ、緑のキャンパスに芸術的なパスワークを描いていった。まずは4分、中盤で土居がボールを奪ってカウンターに転じ、レアンドロがペナルティーエリア右側から右足シュート。枠の左へ逸れたが、スピードに乗った攻撃でチャンスを作り出した。
10分には中盤でのパスカットから鈴木が右サイドの土居へつなぐ。「フリーの味方がいてもシュートで終わるくらいの意識で」と語っていた背番号8は、鋭いカットインから左足を一閃。シュートは相手DFにブロックされたが、得点への意欲を姿勢で示してみせた。直後にはまたも敵陣でボールを奪い、ペナルティーエリア左側に入ったレアンドロが右足で狙う。ゴール右隅を丁寧に狙ったチャレンジは結実しなかったが、背番号11はのちに、2度の歓喜を生むこととなる。
中盤では永木と健斗が出足の速いカバーリングとインターセプトを繰り返し、ミドルゾーンを制圧。選手個々が持ち味を示し、ピッチを躍動した。右サイドバックの伊東も「どんどん選手を追い越すプレーをしたい」という言葉通り、果敢なオーバーラップを繰り返して推進力となった。
そして14分、待望のスコアが刻まれた。自陣からの鮮やかなパスワークで敵陣中央を突破すると、土居からのラストパスを受けた中村がペナルティーエリア右側から右足を一閃。強烈な一撃がゴール左隅へ突き刺さった。1-0。「より一層、個人のアイデアが見出されると思う」と語っていた背番号13が大岩監督の先発起用に応え、先制ゴールを決めてみせた。
勢いに乗った鹿島は鮮やかなパスワークで広島を押し込んでいく。19分には永木の縦パスから土居を経由し、中村がペナルティーエリア左側から意表を突いたループパス。ゴールライン際まで走り込んでいた伊東の折り返しは相手GKにキャッチされたものの、アイデアとテクニック、そしてゴールへの意欲が詰まった攻撃を見せた。
23分にはゴール前の混戦から中村が右足で狙ったが、惜しくも左ポストに阻まれて追加点とはならず。それでも追加点への意欲を示し続けた鹿島は、30分に2つ目のスコアを刻んだ。敵陣中央で前を向いたレアンドロがスピードを上げ、縦パスを中村へ。この日のファーストスコアラーはトラップから右足アウトサイドで絶妙なリターンパスを供給。走り込んでいた背番号11がさらに縦へ持ち出し、強烈な左足シュートを突き刺した。レアンドロ、J1での2得点目。2列目に入った2人が鮮やかなコンビネーションでゴールを陥れ、鹿島がリードを広げた。
2点リードを奪った鹿島は、反撃を期す広島の圧力をしっかりと吸収。絶え間なく続くプレスと連動した守備で相手に自由を与えず、主導権を握ったまま時計の針を進めていった。そして43分、敵陣右サイドでのハイプレスからボールを奪い、ペナルティーエリア右側で反応したレアンドロが右足シュート。ゴール左隅へ吸い込まれ、スコアは3-0となった。
3点リードで前半を終えた鹿島だが、後半は広島に押し込まれる展開となった。ハーフタイムに選手交代を行い、攻撃に重心を置いたホームチームに両サイド深くまで攻め込まれる時間が続く。それでも鹿島はセンターバックの2人が抜群の安定感でゴール前に立ちはだかった。昌子が鋭い読みでパスカットを繰り返し、植田はエアバトルをことごとく制してクロスを跳ね返していく。最後尾のスンテも相変わらずの存在感と冷静なセービングでチームを救った。
広島に得点を許さずにいた鹿島は67分、ゴール前の攻防からアンデルソン ロペスに押し込まれて1点を返されてしまう。その後は中盤でボールが落ち着かずに慌ただしい展開となったが、失点直後に投入されて右サイドハーフの位置に入った西が機を見た攻撃参加で追加点への意欲を見せるなど、少しずつ盛り返していった。大岩監督は75分に金森を前線に送り出し、圧力を高めていく。背番号14は積極的に裏へと飛び出し、強引なドリブルで突破口を見出していた。さらに終了間際には、小笠原がピッチへ。試合を締める役割を託されたキャプテンともに、鹿島は勝利の瞬間を迎えた。
3-1。最後まで広島の攻勢を受けることとなったが、アウェイで奪ったリードをしっかりと守り切った。大岩監督の初陣を勝利で飾り、リーグ戦では3試合ぶりの白星。13試合を終えて8勝5敗、勝ち点24となった。ここから代表ウィークを挟み、次節は2週間後だ。17日の札幌戦から、21日の天皇杯2回戦と25日の新潟戦と、ホームでの3連戦が予定されている。聖地で戦う日々を勝利の記憶で彩るために、選手たちはトレーニングに打ち込んでいく。さらなる向上と切磋琢磨を期し、インターバルに突入する。
【この試合のトピックス】
・大岩監督就任後の初戦を勝利で飾った。
・中村が今季初得点を挙げた。
・レアンドロが2ゴールを記録した。
・広島相手の公式戦は、2015年8月12日のJ1 2nd 第6節以来5連勝となった。
・J1でのアウェイ広島戦は5年負けなしで、2014年から4連勝となった。
・J1での広島戦は7試合負けなしとなった。
・伊東がリーグ戦3試合ぶりの先発出場を果たした。
・三竿健斗が今季のリーグ戦2試合目の先発出場を果たした。
・梅鉢と久保田が今季のJ1で初めてベンチ入りを果たした。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・相手のボランチのカバーリングをしっかり対応すること。
・集中力を落とさず、そこからいい攻撃をしかけよう。
・守ろうと思ったら絶対にやられるぞ。前半のような戦いを続けよう。
サンフレッチェ広島:森保 一
・もっとボールにアグレッシブにいくこと。
・気持ちを見せて戦うこと。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろなことがあった中での試合だったので、正直、難しい部分もあった。それでも選手たちが前半から戦う姿勢を見せてくれて、良い試合の入り方をしてくれた。後半は少し苦しんだが、試合を終わらせることができた。一定の評価をしていいと思う。
Q.就任から間もなくして臨んだ試合だったが、選手たちに訴えたことは?
A.チームのコンセプトやベースになる部分は変わっていない。それをもう1回、思い出すということ。ボールを保持している時はシンプルに動かすということ。チャンスがあれば、積極的にボールホルダーを追い越していくこと。これらの動きができれば、相手にプレッシャーを与えることができるし、自分たちの速い攻撃をもっと促せると思う。それを選手に強く伝えて、試合へ送り出した。
Q.先発メンバーの起用基準は?
A.ケガ人がいる中で、選手の選択肢が限られていた。その中で経験のある選手、力のある選手がいるので、彼らを信じて起用した。今日で言うと中盤の中村、レアンドロ両選手のポテンシャルを信じていた。彼らに訴えたのは「一つのプレーで終わりじゃない。出して動く」ということ。そういう動きをやってほしいと伝えた。最終ラインについては、安定した守備のできるスカッドだと思っているので、自信を持って送り出した。2トップの土居と鈴木については、土居はサイドハーフをやる機会が多かったが、自分の中では中央で相手の最終ラインとボランチの間でボールを受ける力は日本を代表するものだと思っているので、そこで起用することで広島を押し込んでいくイメージを持っていた。
Q.初勝利の感想は?
A.ホッとしているということと、90分は長かったなというのが正直な感想です。
Q.後半に苦しんだという話があったが、柏選手の突破やシステム変更に対してどのように対応しようとしていたのか?
A.相手としては0-3ということで、攻撃に人数をかけてくることは予想していた。ただ、思いのほか、選手が受け身になってしまっていた。そこはうまく意図が伝わっていなかったのかもしれない。伊東と柏選手のサイドで1対1でやられていたので、西を入れることで数的優位を作れるかなと考えた。あとは時間が経つにつれて、柴崎選手や青山選手というボールの出し手へのプレッシャーが足りないと感じていたので、小笠原を入れてはっきりとしたポジショニングから圧力をかけたいと考えていた。そういう意図での選手交代だった。
サンフレッチェ広島:森保 一
今日はアントラーズが良かったというよりも、我々の前半があまりにも良くなかった。それが結果として、後半に追い付いて逆転するチャンスを失ってしまって、自分たちの責任だと思う。苦しい戦いになってしまった。選手たちはいろいろなプレッシャーを受けながらプレーしていると思う。監督である自分が自信や勇気を持たせてあげられていないということ、もちろん選手たちには厳しい要求はするが、自分としても反省するところは反省をしたい。後半はアグレッシブな戦いをすることができた。サポーターの皆さんに後半のような戦い方を見せられるように練習に励んでいきたい。サポーターの皆さんに勝利を届けられなかったことを申し訳なく思う。後半、選手たちが集中力を切らさずに1点をもぎ取る、2点目や3点目を狙いに行くプレーができたのはサポーターの皆さんのおかげ。応援に感謝したい。
選手コメント
[試合後]
【中村 充孝】
今日の試合は何がなんでも勝たなければいけなかった。その試合で勝てたのは大きい。得点の場面では先のプレーを考えて、まずは駆け引きをした。試合の中での一発目はシュートを打とうとしていたので、それが入ったことでその後のプレーもしやすくなった。
【レアンドロ】
自分が得点を決めて、チームが勝つことができた。嬉しく思う。クラブが決断をした中で、監督が求めたものを明確に表現できたと思う。
【植田 直通】
前半は良かった。でも後半はどちらが点を取るかで変わったと思うし、点を取られてから守備の意識が強くなったわけではないけど、もっと前から行っても良かったと思う。今日は結果が全て。勝つことが大事だった。
【鈴木 優磨】
剛さんの最初の試合だったし、勝ちたいという気持ちがみんなにあった。勝たないと意味がなかった。守備の意識が高かった。勝つことができて良かった。
【三竿 健斗】
前半は良かったけど、後半はボールを失う時間が多く、もっと早い判断をしなければいけなかった。前半はある程度うまくできていたので、後半は落ち着いてプレーできた。勝利に貢献できて良かった。
【永木 亮太】
前へ行く意識を高く持っていて、その中で得点につなげることができて良かった。監督が代わって、思うことはそれぞれの中にあると思う。選手の責任が一番大きい。責任を持ってやっていかないといけない。強いアントラーズをここから見せていけるようにしたい。
http://www.so-net.ne.jp/antlers/games/51981
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