ロシアW杯決勝トーナメント(T)1回戦(2日)でベルギーに2―3で敗れた日本代表は3日、ベースキャンプ地のカザンで取材に応じた。MF柴崎岳(26)=ヘタフェ=は22年カタールW杯での躍進に向け、欧州チャンピオンズリーグ(CL)出場を目標にすると明言。ドイツ1部ドルトムントが興味を示すなど、今オフの去就に注目が集まる。日本代表は4日にカザンを出発し、5日に帰国。海外クラブ所属の選手はオフに入り、J1の選手は18日のリーグ再開に備える。
MF柴崎にとって初めてのW杯が終わった。全4試合に先発出場。ボランチで司令塔の役割を担い、1次リーグ突破の喜びを知った。積み重ねてきたことが「今の自分につながっている」と確信を得たプレーもある。最後はFIFAランク3位のベルギーに世界の強さを思い知らされた。今、去来する思い。それはW杯レベルの試合を「日常」にすることだった。
「目標や責任感が体にまとわりついている。自分にとっての日本代表の考え方、とらえ方は変わってきている。今、考えているのはCLに出ることですね。レベル的にはW杯と同等、もしくはそれ以上の大会。そういうところに身を投じる。チャレンジすることが大事かな。チャレンジができるチャンスがあるのであれば、ぜひやりたい」
移籍を視野に入れる。現在はスペイン1部ヘタフェに所属するが、今季は8位に終わった。上位にはRマドリード、バルセロナなど世界的クラブがひしめき、4位以上に与えられるCL出場権獲得は遠い。ヘタフェとは2021年夏まで契約を残すが、スペイン紙「マルカ」によるとヘタフェ側は売却交渉に応じる構え。来季のCL出場権を持つドイツ1部ドルトムントに加え、イタリア1部ACミランが獲得に興味を示していると報じられる中で「国のこだわりはないですね」とスペインに執着せず、進路を探す。
今大会、海外メディアからは「宝石だ」と高く評価された。柴崎の頭脳と技術がなければ1次リーグ突破はより困難だった。だが、自身は「チームをまとめていくのは経験も必要。いろんな知識、感覚も必要。全体的に足りなかった」と厳しく、特に守備面には「まだまだ物足りない」という思いが強い。4年後に向けて克服できる場がCLであり、ビッグクラブだと考える。
西野朗監督(63)は「ベスト8をカタール(W杯)で果たせるメドがついた」と手応えを口にし、MF長谷部誠(34)=フランクフルト=も「このままで続けていってほしい」とエールを送る。その中であえて厳しい目を向ける姿は、FW本田圭佑(32)=パチューカ=と重なる。「間違いなく、今の自分よりパワーアップしなければ、4年後も同じような結果になる」と柴崎。世界への扉を開くため、次の4年間に全てをささぐ覚悟がある。(内田 知宏)
◆スペインリーグのCL出場争いの現状
スペインリーグのCL出場枠は「4」だが、出場権争いはかなりシビアだ。世界的人気と豊富な資金力を誇るRマドリードとバルセロナの2強時代が長く続いている。直近の10年で2クラブ以外がリーグ優勝したのは13―14年のAマドリードだけ。当時も“2強”以外の優勝は03―04年のバレンシア以来10年ぶりだった。
今季のCLで3連覇を達成したRマドリードと、リーグ優勝25回のバルセロナのCL進出は毎シーズン堅い。残り2枠を18チームで争う構図になるが、2強以外にもCL準優勝経験が複数回あるAマドリードやバレンシアなど層は厚い。創設35年のヘタフェの最高順位は09―10年の6位。長い間勢力図が変わっていないだけに、CL出場権争いに割って入るのは容易ではない。
◆柴崎 岳(しばさき・がく)1992年5月28日、青森・野辺地町生まれ。26歳。青森山田高から2011年に鹿島へ入団。17年1月にスペイン2部テネリフェへ移籍し、7月から同1部ヘタフェでプレー。国際Aマッチ通算22試合3得点。J1通算172試合17得点。175センチ、62キロ。女優の真野恵里菜(27)と交際中。
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柴崎岳、移籍志願「欧州CLにチャレンジしたい」ドルトムントが興味