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11月29日(土) 2014 J1リーグ戦 第33節
C大阪 1 - 4 鹿島 (14:04/ヤンマー/23,330人)
得点者:33' カイオ(鹿島)、59' 赤崎秀平(鹿島)、67' 赤崎秀平(鹿島)、69' 永井龍(C大阪)、80' 柴崎岳(鹿島)
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J1残留圏まで勝点4と後がない17位C大阪、頂点まで勝点4と、5年ぶりの王座奪還へわずかな希望を残していた4位鹿島。ともに絶対に勝利が欲しいチーム同士の一戦は、鹿島が赤崎秀平の2得点などで4-1と勝利。同日、鳥栖に引き分けた首位の浦和との差を3に縮め、最終節に優勝の可能性を持ち越すことができた。一方、ホーム最終戦で大敗を喫したC大阪は、15位清水との差を縮められず、今季のJ1において、1試合を残して、J2降格圏の16位以下が確定した。
朝方に降った雨も昼前には止み、キックオフ時からは青空も見えていたヤンマースタジアム長居。『絶対残留』を誓い、必勝を期したC大阪のだが、待っていた現実は、敗北、そして、降格の涙雨だった。試合後、「あまり言葉が見つからないですが、自分たちの目標を達成できなくて、悔しい気持ち」(杉本健勇)、「決まってしまったんだなと、頭が真っ白になったというのが、一番の感想」(永井龍)と若きイレブンもコメントするなど、来季、J1で戦えないという現実に、茫然自失の状態になっていたC大阪の選手やスタッフ、サポーターも少なくなかった。
フォルランがメンバー外、カカウがベンチスタート、前節の仙台戦と同じ先発陣で臨んだC大阪。「立ち上がりの入りは、前回の反省を活かして、悪くはなかった」と大熊裕司監督も言うように、序盤は鹿島と互角の戦いを繰り広げたC大阪。しかし、なかなかシュートまで持ち込めずにいると、33分、鹿島の連動性ある攻撃の前に対応が後手になり、先手を奪われた。0-1で迎えた後半は、カカウを前線に投入して反撃に出たが、後半開始から鹿島に2度の決定機を作られるなど、攻勢は止められず。59分には2点目を献上。すると、この試合で精彩を欠いていた若きエース、南野拓実を64分で途中でベンチに下げる強行采配で活路を見出そうとしたが、その3分後にも、オフサイドを取り損ねて3失点目。ピッチに、そして、アウェイ側ゴール裏を除いた2万3330人の大部分に、落胆の色が広がる。
それでも、3点目を取られた直後にもかかわらず、桜色の戦士は歯を食いしばって戦った。扇原貴宏が果敢にシュートを放つなど、遮二無二攻め出ると、69分、カカウを起点に仕掛け、杉本の右クロスから、最後はゴール前に詰めた永井が押し込んで、1点を返した。その瞬間、スタジアムに活気が蘇り、一気にC大阪攻勢の時間帯がやってくる。ただし、73分、75分と、2度、丸橋祐介の左クロスから永井に決定機が訪れたが、生え抜きストライカーは決めきることができず。「1-3になってからも2本チャンスがあったので、あれを決めていれば、まだ望みがつながったと思う」(永井)。
得点から5分後、柴崎岳にあっさりダメ押しとなる4失点目を流し込まれた時点で、完全に勝負は決してしまった。試合終了後、キャプテンマークを巻いていた山下は立ち上がれず。扇原、丸橋をはじめ、涙を流す選手も少なくなかった。「僕たちの力が足りなかった」(丸橋)、「今までの積み重ねがこういう結果になってしまい、すごい悔しい」(山下)、「1年間の積み重ねが今日の試合に出たというか、こういう結果になった。本当に申し訳ない思い」(酒本憲幸)、ピンクのユニフォームに袖を通した選手たちは、責任を背負いこんだ。
ただ、現場だけがこういうJ2降格という結果を招いたのではないことは、誰の目にも明らかだ。それを象徴していたのは、スタンドのサポーターのベクトルが一気に1つになった、ホーム最終戦終了後のセレモニー、岡野雅夫代表取締役社長の挨拶での、大きなブーイングが響きわたった時。「史上最攻は経営だけ 大事な強化は空回り 20年間の経験を財産にできないクラブに花は咲くのか?」。ゴール裏に広げられた痛烈なメッセージは、現状を示す1つ。事業、強化、現場といったクラブの組織が一丸となれなかったこと、確固たる指針を今季出せなかったからこそ、世界的ストライカーのフォルラン獲得など派手な花火を打ち上げた後に、大きな代償を払うことになったのではないか。
この日、対戦した鹿島は、主力の海外移籍があったり、若返りを図りながらも、一貫した強化体制でチームを作り上げ、今節もトニーニョセレーゾ監督の元で秀逸な戦いを披露。カイオ、赤崎秀平、柴崎岳といったゴールを奪った選手たちをはじめ、全体が躍動。優勝争いを最後まで繰り広げる状況を作っている。そこに、長年タイトルを取り続けているクラブと、チャンスがありながらも活かせないC大阪との差が映し出されている。試合後、鹿島のトニーニョセレーゾ監督が、「我々は数字上可能性があるといってもまず自分たちが勝って終わらないと条件は整わないので、まず自分たちのホームの試合をしっかり勝つ。それで、試合が終わった時にどのような状況になっているのかをまわりに聞いてみるしかないので、まず自分たちの試合を、謙虚さを忘れずに戦っていきたい」と現状をしっかり見極め、謙虚な姿勢を忘れていないことも、強豪クラブの歴史を感じさせるものだ。
「クラブ、チーム、選手、すべてが勝者の意識を持たなければ、サッカーにおいて、何かを成し遂げることはできない」と述べるのはカカウ。百戦錬磨の元ドイツ代表は言う。「何より大事なのは、新しいメンタリティーを作っていくということ。それがなければ、難しい戦いになる。J1に復帰するためには、チームのメンタリティーを変えることが、何より必要になる」と。抜本的に改革しなければ、容易にJ1に戻って来られないことは、2度のJ2を経験した、20周年を迎えた桜色のクラブも、十分に認識しているはず。いや、そうでなければいけない。この時点から、最終節から、今季の『おごり』のツケを払う、再生への茨の道は始まるが、相当の覚悟が必要だ。真のクラブ力は、ここから試される。セレッソ大阪というクラブが、今後もあり続けるために。
以上