サッカー1対1に勝つ! [ 夏嶋隆 ]
2020.07.04 19:00
等々力陸上競技場
川崎フロンターレ 2 終了 1 鹿島アントラーズ
将来を嘱望されるストライカーのプロデビュー戦は、ほろ苦いものとなった。今シーズン、福島の尚志高校から鹿島アントラーズに加入したFW染野唯月が、4日に行われた明治安田生命J1リーグ第2節の川崎フロンターレ戦でプロデビューを果たした。
今シーズンの鹿島には、染野に加えて、荒木遼太郎、松村優太と3人の高卒新人アタッカーが加入した。荒木と松村は2月16日に行われたルヴァンカップ第1節で荒木と松村がプロデビューを飾り、故障で出遅れていた染野が唯一公式戦デビューを果たしていなかった。それでも3月に全体練習に復帰すると、練習試合でもゴールを決めるなどアピールを続ける。今季から鹿島を率いるザーゴ監督は「素晴らしい才能を持った選手で、練習でも要求したことを実践しようとしている」と大きな期待を寄せていた。
プロデビューは72分に訪れた。染野は和泉竜司と交代して右サイドで起用される。すると、85分に決定的なシーンを作ってみせた。遠藤康からのスルーパスに抜け出した左サイドバックの永戸勝也がダイレクトでクロスを供給する。相手DFのクリアが乱れると、ボールはファーサイドにこぼれた。これに反応した染野がペナルティエリア内から右足で強烈なシュートを放つ。しかし、このシュートは惜しくもクロスバーを直撃した。本人は試合後にオンライン取材に出席し、「FWとして決めないといけないシーンだった。チームをいい方向へ持っていくことができなかったことは残念」と悔しさをにじませた。さらに87分には遠藤から供給されたボールに反応。ペナルティエリア内で相手DFと接触して倒れたものの、ファウルは認められなかった。「シュートをしにいく選択をしていれば、自ずとPKを獲得できたのかなと思います。体が当たっていたので、PKがほしかったです」と振り返った。
鹿島はこの試合を1-2で落とし、開幕戦に続いて敗北を喫した。染野自身は「自分の持ち味であるシュートを打てたことは良かった。点を取れなかったことは今後の課題。シュート意識を高めていきたい」とデビュー戦を振り返った。過密日程が続くなかで、染野を含めた若手の台頭はチームにとって明るい材料だ。ザーゴ監督のもとで変化の渦中にある鹿島において、パリ五輪世代のエース候補がチームに勢いをもたらすかもしれない。