日刊鹿島アントラーズニュース

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2022年5月31日火曜日

◆【番記者の視点】今季10得点目の鹿島・上田綺世 歴代FWが陥った罠とは無縁の思考「決まるまで打つ」(報知)






◆明治安田生命J1リーグ▽第16節 FC東京3―1鹿島(29日・味の素スタジアム)

 FW上田綺世が3年連続2ケタ得点となる今季10得点目を決めた。3点を先行された後半9分、MF和泉竜司が落としたボールを、滑り込みながらゴール左に決めた。相手GKがコースを特定できないであろうシュートモーションから鋭く右足を当て、ニアを抜いた。こうした駆け引きの末のゴールだと分かっていても、上田のゴールは簡単に決めているように見えるから不思議だ。

 試合は1―3で敗れ、チームは首位から陥落した。自身の大台到達を「特にはないですね。今日の試合で負けたのでそれがすべて。勝つために点を取りにいっている」とし、3シーズン連続については「シーズンや何年連続とは考えていなくて、3失点した以上、4得点しないと勝てない。前の試合(鳥栖戦)なら、4―4なのでもう一点取られなければいけない。僕は通算で、という考えはしていない」と返した。

 動き出しやシュートのパンチ力など多くの特長を持つストライカーだが、一番の武器は心だ。シュートを外しても、悔しがる素振りすら見せないことを問われた、回答がこうだった。「むしろ引きずる理由がない。シュートは外れるか、決まるか。外したら決まるまで打つしかない。なぜ外したのかすぐ分析して、まとめる。頭の中では整理できている」。言葉にできても、実行に移すことは難しい。特に勝利を義務付けられたクラブでは、ストライカーがはまりやすい罠がある。

 日本を代表するストライカーの地位を確立した大迫勇也、興梠慎三は鹿島在籍時、パスの選択が増えた時期があった。いずれも若手時代。チームとしてボールを失いたくない意識が強く、相手ボールになりやすいシュートの選択は減った。この現象を興梠は「鹿島あるある」と言い、当時のジョルジーニョ監督に尻をたたかれるまで消極的だった大迫も「ボールを失いたくなくて、シュートが減っていた」と振り返る。

 今季の鹿島では、レネ・バイラー監督が「ミスしてもいい」と声をかけ、チーム全体が「ボールを失っても奪い返せばいい」精神に変わりつつある。とはいえ、決めても、外しても感情一つ変えずに、力みないフォームからシュートを打ち続ける姿を見ると、ゴール、シュートの見方、ストライカーの考え方が他の日本人FWとは違うのだと感じさせる。減点方式の日本で、ミスに厳しい鹿島でも変わらないストライカー像を持ち続ける上田。FWというより、「点取り屋」と呼ぶべきなのだろう。(鹿島担当・内田知宏)





◆【番記者の視点】今季10得点目の鹿島・上田綺世 歴代FWが陥った罠とは無縁の思考「決まるまで打つ」(報知)





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