昨季限りで現役を引退した槙野智章氏が問題提起
[J1第5節] 横浜F・マリノス2-1鹿島アントラーズ/3月18日/日産スタジアム
「もう論外です、マジで。こんなのカードの対象でもないし。(主審は)近くで見ているし。Jリーグがもっとレベルが高くなるうえで、選手はかなり努力しているし、もっと良いリーグにするのであれば、こんなのファールを取って、カードを出していたら、ゲームもクソもなくなる」
これは昨季限りで現役を引退した槙野智章氏が、DAZN配信の『Jリーグジャッジリプレイ』で述べた意見だ。対象は、3月12日に行なわれたJ1第4節のセレッソ大阪対サガン鳥栖でのワンシーン。89分に後者のMF長沼洋一が1対1で抜きにかかる相手をストップするも、手で止めたように見える守備が反スポーツ的行為と判断され、二度目の警告で退場となった。
一枚目のイエローカードについては「ファウルでいいと思う。カードなし。ファウルで注意。危険だけど、そこらへんはコミュニケーションでいいのかな」と語っていた槙野氏は、この二枚目に関しては、「はっきり言っていいですか」と断りを入れたうえで、語気を強め冒頭の発言をしていた。
翌週末の18日。横浜との試合直後に鹿島CB植田直通を取材する機会があった。Jリーグ元年から続く伝統の一戦でも、何度か主審に詰め寄る場面があったなか、槙野氏の発言を伝え、「日本と海外でレフェリングの違いはあるのか」と尋ねてみた。
すると、ベルギー(サークル・ブルージュ)とフランス(ニーム)でそれぞれ3シーズンを戦った経験を持つ28歳は、「それはかなりありますね」と即答。現役選手なだけに「色々言っちゃうと僕が叩かれちゃうんで」と、発言に対する難しさをのぞかせながらも、率直な考えをこう明かしてくれた。
「不満を思う部分はあるし、良いところもあるし。色々なことを含めてそうですよね。海外と日本では違いがあるし、それはしょうがないものだと思う。日本がこうだから、海外がこうだからっていうのは、僕はあんまりそういうのは思いたくないタイプ。日本はこうだ。海外はこうだという感じは、僕はそうだなと、認めるしかないなと思っています。
日本のレフェリーはこうだからこうしないといけないなと、試合をやりながら学んでいかなければいけないと思うし。レフェリーでバラつきがあったりするのも自分たちで覚えていかないといけない。そこはそういう対応も必要かなと思います」
鹿島は横浜戦を含め、開幕からのリーグ戦5試合中3試合で退場者を出している。植田は今後に向け、最後に次のように決意を示した。
「最近ちょっと、レフェリーに対して自分たちもストレスが溜まっている部分もあるのかなと。その部分もあるので、そこは気にせず。相手と勝負しているので。サッカーはそういうスポーツなので、レフェリーにワアワアあんまり言わずにクリーンにやっていければなと思っています」
レフェリング改善を求める声があるなかで、一朝一夕に事態が劇的に変わるわけではない。目の前の試合を日々、命懸けで戦う選手たちは、現状にアジャストしていくしかない――。日本代表での経験も豊富な名門のDFは、そう考えているようだ。
取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)
◆日本と海外で違いは「かなりある」 鹿島DF植田直通が考える審判との向き合い方「それはしょうがない。試合をやりながら学んでいかないと」(サッカーダイジェスト)