【得意なことをシンプルにやらせている鹿島】
オフシーズンに積極的な補強に動いた鹿島アントラーズは、第2節の川崎戦はちょっと不幸な敗戦になったものの、長いシーズンで見れば勝ち点を積み上げやすくなったと見ていい。もし川崎戦に勝利していたら、手のつけられないほどの勢いになっていたかもしれない。そう思えるほど、今季の鹿島は力強さがある。
岩政大樹監督は昨季途中から監督になったが、今季はメンバーの特性を把握し、彼らの得意なことをシンプルにやらせているように映る。プレー面で言えば、DFラインからのビルドアップを最低限にし、一気にボールを前線に入れるケースが目立つし、これが好結果につながっている。
鹿島のDF陣の長所は対人の強さにあったが、ビルドアップに関してはそこまで上手ではなかった。得意ではないことを選手たちに求めても、ミスが出るだけではなく、得意なプレーでも精彩を欠く。
昨季までの鹿島はそんな負のスパイラルに陥っていたが、今季の岩政監督はいい意味で割りきって、DFラインからのビルドアップを必要最小限にとどめた。長いボールを前線に入れて、多少ルーズに蹴り出されたボールでも、鈴木優磨や知念慶といった強さと高さのある選手たちが競り合い、セカンドボールを拾うことで攻撃の起点にしている。
もうひとつ鹿島で見逃せないのが、アンカーのポジションに入っている佐野海舟だ。町田ゼルビアから獲得した22歳だが、ボールを奪う能力、インターセプトの読み、奪ったあとに相手ペナルティーエリアまで持ち運べるドリブル能力も備えている。
佐野はシーズン開幕から存在感を発揮しているが、ほかの選手たちも力はあるため、チーム内で自然と競争が高まっていくはずだ。長いシーズンを見据えれば、こうしてチーム力が高まっていくこともタイトル獲得には不可欠な要素になる。
◆神戸は「バルセロナ化から遠い身の丈にあったプレー」鹿島は「シンプルに得意なこと」で好調 開幕3戦のJリーグ各クラブを福田正博が分析(Sportiva)