日刊鹿島アントラーズニュース
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2013年6月18日火曜日
◆【Jリーグスペシャルマッチ TAO vs J選抜】レポート:選手・サポーターが一体となった"ひとつのチーム"がつくりあげた特別な1日。(J's GOAL)
http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00157075.html
6月16日(日) 2013 Jリーグスペシャルマッチ
TAO 2 - 1 J選抜 (15:00/国立/41,246人)
得点者:11' 佐藤寿人(J選抜)、41' 松井大輔(TAO)、70' 金崎夢生(TAO)
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復興支援という言葉の重さは、ともすれば人を尻込みさせる。
災害の規模が大きければ大きいほど傷の深さは計り知れず、周りにいる人がうかつに入り込めない壁となるからだ。
しかし、試合に先立って行われた中村俊輔(横浜FM)の宣言は、そんな重さを軽く吹き飛ばした。
「今日、このスタジアムにご来場頂いている皆さまと我々は、ひとつのチームです。1日も早い復興に向けて、これからも共に活動していきましょう」
"ひとつのチーム"。
この呼びかけが、このスペシャルマッチの方向性を明確に表していた。
先制したのはJリーグ選抜。若さと勢いにあふれるドリブルを何度も披露した原口元気(浦和)が左サイドから切れ込みながらパスを出す。それをトラップせずにスルーした佐藤寿人(広島)。弧を描きながらゴールへ向かうと、その意図を察した豊田陽平(鳥栖)がワンタッチでパスを送り、流れるような美しい展開から左足でゴールへ突き刺した。
TEAM AS ONEも前半のうちに追いつく。魅せたのは松井大輔(スラヴィア ソフィア/ブルガリア)。試合中から多彩なテクニックやフェイントを見せていたが、ゴール前の混戦にもかかわらず、足裏をつかってルーレットのように回りながらパスを出す。それを受けた大迫勇也(鹿島)のシュートは、必死にゴールを守る楢崎正剛と田中マルクス闘莉王(ともに名古屋)に防がれたものの、こぼれ球を松井がゴールに蹴り込むのだった。
後半には、西大伍(鹿島)、梁勇基(仙台)とつないだボールを、最後は金崎夢生(1.FCニュルンベルク/ドイツ)が決めてTEAM AS ONEが逆転に成功。ただ、同時に試合の動きも少なくなり、ミスも多くなっていた。
しかし、ここから試合は、一気に熱を帯びるのである。立役者は、闘莉王だった。後半から出場していたキリノ(湘南)がふくらはぎを痛めてしまうと、一度はピッチを退いていた闘莉王が再びピッチに登場。
「もし何かあった場合にはプレーさせてくれ」
後半開始時、すべての選手を入れ替えていた森保一監督(広島)に、予めそう申し出ていたというのだから、そのプロ意識は恐れ入る。そして、スタンドもそれを後押しした。ベンチ裏でアップをしていた闘莉王が再びユニホーム姿になると、大歓声でこれを迎えたのである。
「本当にありがたかったですし、一生懸命走りました。皆が喜んでくれるように、同点にはしたかったです」
そう話す闘莉王。何度となくクロスに飛び込み、得意の胸トラップからゴールを狙うこともあったが、マークにつく中田浩二(鹿島)が「負けた方が良いのかな」と手加減してくれたのは、ファーストプレーだった川口能活(磐田)からのロングキックのときだけ。
うまく頭で落としたところまでは、2011年のチャリティーマッチで三浦知良(横浜FC)が美しいゴールを決めたのとそっくりだったが、パスを受けた森島康仁(大分)のシュートは大きく枠をそれてしまった。これにはJリーグ選抜のチームメイトもベンチを飛び出して抗議。森島は両手を合わせて頭を下げていた。
その他にも、この試合の意義に賛同して多数集まってくれた選手たちは、数え切れないほどすばらしいプレーを見せてくれた。
「やっぱりセンターバックの二人。ワールドカップを戦ったあの二人が、自分たちが攻めてるときに守ってくれてると思うと『すげーな』と思った」と、柿谷曜一朗(C大阪)が絶賛したように、闘莉王、中澤佑二(横浜FM)のコンビはさすがの存在感を放った。
その柿谷も体調は万全でないながらも、高く舞い上がったボールを反転しながらピタリとトラップするなどの持ち味を発揮。他にもゴールはならなかったものの、鄭大世(水原三星ブルーウィングス/大韓民国)はパワフルなプレーを連発し、人一倍、この試合に強い気持ちを持つ小笠原満男(鹿島)は、原口との競り合いで強靱なキープ力を見せつけた。また、闘莉王のプレーに触発された松井も、出場できなかった森本貴幸(アル ナスル/UAE )のユニホームを身につけて、再びピッチに立つ気概を見せてくれた。
「僕の特別な思い出としてだけでなく、被災された方にとって特別な日にできたのではないかと願っています」
この試合で、TEAM AS ONEの指揮を執ったトニーニョ・セレーゾ監督(鹿島)は、この試合をそう総括した。
ピッチとスタンドがこれほど近く感じた試合は、そこまで多くない。選手やスタッフ、監督だけでなく、試合を見に来た人たちが一体となって、この試合を盛り上げていた。それだけではなく、偶然かもしれないが、試合前まだポツポツと降っていた雨は試合が始まる頃には止み、雲の切れ間からは太陽の光も差し込んでいた。
ひとつのチームがつくりだした特別な1日だった。
以上
Reported by 田中滋
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