日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年5月19日金曜日

◆鹿島、昌子から町田へ継承されるCBの心構え ミスを飛躍への力に変えるために(サンスポ)


鹿島、昌子から町田へ継承されるCBの心構え ミスを飛躍への力に変えるために

 橋本和のクロスが狙い澄ましたように渡邉千真の頭にピタリと合うと、ヘディングシュートがクォン・スンテの手の届かない位置に飛び、ヴィッセル神戸に2点目のゴールが生まれた。10分に不運なオウンゴールで1点目を失ったばかりだったが、それからわずか4分後に2点目を奪われてしまった。

 隣にいるのはリーグ戦初先発の町田浩樹。その町田がマークを外されて失点に直接絡んだ。昌子源は必死に町田に訴えかけた。

 「下を向くな!引きずるな!」「3失点したら万事休すや。失点はこれで終わりやで!」

 町田はうまく気持ちを立て直し、その後、ゴールを許すことはなかった。

 試合から数日後、昌子はあのときの町田の強さを改めて認めていた。

 「あのままマチが引きずっていたら試合は終わっていた。あそこはマチの強さが出たと思う」

 ■不慣れなポジションが生んだわずかな遅れ

 FIFA U-20ワールドカップ韓国2017のメンバーから外れたものの、町田は年代別代表に常に名を連ねる選手だった。昌子は「国際経験では自分よりも上」と町田のことを認めてきた。修羅場をくぐった経験や、こうした厳しい経験の場数も十分に踏んでいる。その経験が生きた場面だったと感じていた。

 ただし、本当はもっとうまくカバーすることができるはずだった。しかし、分かっていたのにイメージどおりに体が動かない。相手が右SBである西大伍の背後を狙ってきていることは感じていたのに、左CBで出場したときとはカバーリングに出る一歩目が遅れていたことを昌子は痛感していた。

 「CKになる回数も多かったと思う。右CBでの不慣れさが出てしまった。あれが左だったがああはならなかったと思う。俺がボールに先に触ったり、スンテにバックパスすることもできた」

 しかし、それこそがいい経験になると感じてもいる。日本代表でポジションを争う森重真人は所属するFC東京では右CBを受け持つが、代表に行けば左CBに移る。しかし、どちらも遜色なくこなしている。

 「森重くんはすごい。自分もいい経験になった」

 だからこそ、今度はもっとうまくやりたいと願う。

 「もっとマチをカバーしてあげたかった。インターセプトが得意だから後ろを気にせんと、行けると思ったら行け!と言ってあげたい」

 もちろん川崎フロンターレの攻撃陣が強力なのはよく知っている。なにしろ昨季は4度も対戦している。特に、小林悠のプレーは要注意。町田にも「悠くんの動き出しはすごいよ。目を切っただけで動き出してる」と一番注意すべき選手だということは伝えていた。

 ■後輩へのアドバイスを自分自身にも

 昌子には忘れられない2014年5月10日。FIFAワールドカップ ブラジル2014最終選考直前ということもあり、世間の目は大久保嘉人がメンバーに滑り込むかに注目が集まっていた。実際、この試合で大久保嘉は2得点。試合に出始めたばかりの昌子源と植田直通のCBコンビはそれこそちんちんにされてしまった。

 ただ、この試合で小林悠も2得点を決めている。特に、大きな切り返しで決められた2点目は、当時の昌子の予測を超えたゴールだった。

 しかし、ミスをミスで終わらせないことが昌子を大きく成長させた。「CBはミスをして成長するポジション」という大岩剛コーチの教えを守り、ミスをした場面、失点をした場面を繰り返し頭に叩き込むことで修正点を導き出し成長に変えてきた。渡邉にヘディングを許した町田もまた「失点シーンはかなり見ました」と繰り返し映像を見返したと話す。

 前節、昌子は加入当初から「いつか付けたい」と話していたキャプテンマークを任されたが結果は出なかった。それでも試合後、場内を一周するとき一度も下を向かなかった。

 「キャプテンが下を向けば、みんな下を向いてしまう」

 町田に言い聞かせた言葉を、自分自身にも投げかけた。

 次の試合もキャプテンマークを巻くかはわからない。だが、腕章があろうがなかろうがやるべきことは変わらない。体を張ってゴールを守る。その一点に昌子は集中する。

 文=田中滋(Goal.com)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20170518/jle17051818570018-n1.html

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