[12.2 J1第34節 神戸1-3清水 神戸ユ]
流れを呼び込む値千金の逆転ゴールだった。1-1に追いついた前半26分、MFミッチェル・デューク、MF金子翔太とつないだボールにMF増田誓志が反応。「転がってきたら枠に飛ぶように意識しいていた」。ペナルティーアーク内で迷わず右足を振り抜き、鮮やかなボレー弾を叩き込んだ。
残留争いは最終節までもつれ込み、引き分け以下ではJ2に降格する可能性があった。勝利だけを目指した大一番。起死回生の逆転弾を「普通にボールがきたので蹴っただけ。ラッキーですよね」と控えめに喜んだ。
今夏、3年ぶりにJリーグに復帰した増田はこれが移籍後初ゴール。04年に鵬翔高から鹿島に加入し、13年に韓国リーグの蔚山現代に移籍。14年はレンタル先の大宮でプレーし、15年に蔚山現代に復帰。今季は7月までUAEのアル・シャールジャに所属していたが、8月上旬に完全移籍で清水エスパルスに加入した。
しかし、加入直後に左ハムストリングスの肉離れで戦線を離脱。試合出場はこれが4試合目だった。「今季は自分の力のなさを痛感させられた。チームに還元することができなくて悔しいシーズンだった」。元日本代表ボランチは加入後にチームを引き上げられなかったことを悔やみ、自ら責任を背負った。
残留争いに巻き込まれ、甲府と残り1つの残留枠を争った最終節で9試合ぶりの勝利。「サポーターがいたから今日勝てたんじゃないかな」と感謝の言葉を口にした増田は「勝つしかないプレッシャーの中で僕らはしっかりと戦えた。こういう気持ちを忘れず、一つ一つ戦っていければ」と来シーズンの飛躍を誓った。
(取材・文 佐藤亜希子)
逆転弾は増田誓志の移籍後初ゴール、悔しいシーズンに「自分の力のなさを痛感した」