[10.24 ACL準決勝第2戦 水原三星3-3鹿島 水原]
「そこが勝敗を分けたかなと思います」(DF安西幸輝)。初のAFCチャンピオンズリーグ決勝を果たした鹿島アントラーズは後半15分、窮地に立たされていた。わずか7分間に3失点を喫し、追いつくにはあと2点が必要な状況。だが、そんな崖っぷちムードを一変させたのはFW鈴木優磨の熱意が導いた“円陣”だった。
「たぶん引きずっているかなという感じで、ちょっと離れたところに立っていたので」(鈴木)。気にかけた相手は「間違いなくリーダー」というDF昌子源。失点に関与した直後とあり、落ち込むそぶりを見せていた26歳に対し、迷わず叱咤の声をかけた。そこから全員での円陣が形成され、チームが落ち着く契機となった。
「『あと1点取れば同点だから』という意思疎通ができた」と振り返ったのは冒頭の所見を述べたサイドハーフの安西。また、最終ラインの選手たちにも大きな効果を及ぼしたようで、DF山本脩斗は「話し合ってから落ち着いて試合を運ぶことができた」と述べ、昌子自身もカバーリングの方法を変えたことを明かした。
勢いを取り戻した鹿島は、失点直後の後半19分にDF西大伍が技ありの追撃ゴールを沈めると、同37分にはMFセルジーニョが劇的な同点ゴール。そのまま合計スコア6-5で上回り、見事にクラブ史上初の決勝進出を決めた。「3失点は反省しないといけないし、個人的にも反省は多い」(昌子)。そんなチームリーダーを助けたのは22歳の若武者ストライカーの機転だった。
(取材・文 竹内達也)
◆「そこが勝敗を分けた」鹿島の逆転ファイナルを導いた“優磨発”の緊急円陣(ゲキサカ)