アジアCL決勝第2戦(10日=日本時間11日、テヘラン)鹿島がペルセポリス(イラン)と0-0で引き分け、2戦合計2-0として初のアジア制覇を達成した。日本勢の優勝は昨年の浦和に続いて4度目。鹿島にとってはクラブ20冠目の主要タイトルとなった。12月にアラブ首長国連邦(UAE)で開催されるクラブW杯に出場する。守備の要としてチームを牽引したDF昌子源(25)の姉で女優、昌子楓(かえで、27)がサンケイスポーツに喜びの手記を寄せた。
守り抜いた。アウェーで0-0の引き分けに持ち込み、悲願のアジア王者だ。何度も何度も抱き合う選手たち。大岩監督は思わず男泣きした。
「厳しいアウェーの試合だったが、選手がよく走り、戦い抜いた。勝利はできなかったが、優勝できてうれしく思う」
引き分け以上で優勝が決まる一戦。10万人の大観衆は、選手が頭痛を感じたほどの音量で楽器を吹き鳴らす。互いの声が全く聞き取れない。まさに極限状態。それでも臆することはなかった。
無理につながず、バックパスは禁止。標高が高く、普段よりも伸びるボールには必ず複数で対応-。DF昌子を中心とした守備陣が試合前の“決めごと”を徹底。ペルセポリスを完封した。
平坦(へいたん)な道のりではなかった。7年ぶりに復帰したDF内田や攻撃の軸MFレアンドロら主力が負傷で長期離脱。夏にはエースFW金崎や守備の要DF植田が移籍した。リーグ戦で不振にあえいでいた7月、鹿島の礎を築いたジーコ氏がテクニカルディレクターとして16年ぶりに復帰した。
「今できることを後に回すな。鹿島のユニホームを着る誇りを持て」
ブラジルのスーパースターは、チームを鼓舞し続けた。「ジーコ精神」と呼ばれる独特のクラブ理念を、若手や移籍組にもたたき込む。「人間が生きるために食事を取るように、クラブはタイトルを取って腹を満たす」と、栄冠をつかみ取る必要性を説いた。
決勝第2戦の前日、ジーコ氏はこう呼びかけた。「自分が、自分がという気持ちでは絶対に勝てない」。これに呼応して、FW鈴木ら攻撃陣も体を張った守りで奮闘。20冠目となるタイトルを勝ち取った。
12月のクラブW杯にアジア代表として出場。初戦のグアダラハラ(メキシコ)に勝てば、準決勝でレアル・マドリード(スペイン)と激突する。開催国枠で出場した2016年、決勝で善戦するも敗れた。“鹿島の誇り”を胸に、欧州王者にリベンジを果たす。
全北(韓国)時代の2006、16年に続き3度目のACL制覇となったGK権純泰
「無失点に抑えられてよかった。終わってから3度目だと自覚した。4度、5度と伸ばせるように頑張りたい」
アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)
アジア連盟(AFC)が主催し、2002~03年シーズンから続く大会。アジア各国から32クラブが参加し、アジア王者を決定する。1次リーグは8組に分かれて行われ、各組上位2チームが決勝トーナメント(T)に進む。決勝Tは全戦ホームアンドアウェー方式。優勝チームは賞金400万ドル(約4億5600万円)とクラブW杯出場権を得る。過去の日本勢では07年に浦和、08年にG大阪、17年に浦和が優勝している。
◆鹿島、ジーコ魂でアジア初頂点!12・15初戦に勝てばレアルと激突/ACL(サンスポ)