[11.6 J1第32節 柏2-3鹿島 三協F柏]
その雄叫びの表情が、ストライカーとしての渇きを物語っていた。2-2の同点で迎えた後半16分、鹿島アントラーズのMF山口一真がチームの3点目を叩き込み、シーソーゲームに決着をつけた。
「これだけゴールから遠のいたのは人生で初めてだった」と試合後にその胸のうちを明かした山口は、今季、阪南大から鹿島に加入。3月7日のACLシドニーFC戦でプロデビューを飾ると、4月14日の第8節・名古屋戦でJデビューを果たし、アシストも記録した。しかしゴールはなく、プロデビューから8か月後となる柏戦でついにプロ初得点を決めてみせた。
得点はMF遠藤康のシュートがクロスバーに当たってはね返ったところを、山口が押し込む形となった。「康さんから『サイドハーフはこぼれ球を狙っていけ』という指示があった。こぼれてくるのを信じて走っていました」。まさに思惑通りのゴールとなったが、ボールとゴールの間には複数の柏守備陣がいたため、ブロックされてもおかしくはなかった。「ボールもほとんど見ないくらいで、気持ちで蹴ったら入った感じでした」。執念で奪った得点だった。
得点後、目の前にした鹿島サポーターに向けて喜びを体現した山口の後ろから、ベンチの選手が抱きついてきた。「みんなも僕が点が欲しいというのをわかっていたと思うし、チーム一丸となって戦っているなという感じがしました」。4日後に迫ったAFCチャンピオンズリーグ決勝に向けて、チームとしても弾みとなるゴールとなったはずだ。
(取材・文 奥山典幸)
◆鹿島の大卒ルーキー山口一真がプロ初弾、「これだけゴールから遠のいたのは人生で初めて」(ゲキサカ)