日刊鹿島アントラーズニュース

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2020年1月25日土曜日

◆鉄人セルジが鹿島退団か。期待集まる王国コンビ「ゴールで助ける」「ジーコの半分は…」(ゲキサカ)






◆◆月刊サッカーマガジン / 2020年3月号


 鹿島アントラーズの小泉文明社長は23日、昨季までの1年半にわたりあらゆる公式戦でフル稼働したMFセルジーニョが「海外クラブ移籍を前提とした交渉を行っている」と明かした。攻撃の大黒柱が抜ければ悪影響は必至。それでもサッカー王国ブラジルからは新たにFWエヴェラウド(28)、MFファン・アラーノ(23)が加わり、穴埋め以上の活躍に期待がかかる。

 セルジーニョは2018年夏、ブラジルのサントスFCから完全移籍で加入。8月20日のACL準々決勝第1戦でさっそく初ゴールを決めると、そこから決勝第1戦まで5試合連続ゴールを記録し、クラブ史上初のアジア制覇に大きく貢献した。また初めて通年を戦った昨季は公式戦55試合中47試合に出場。負傷時を除くとほぼ全試合のピッチに立ち、恐るべき鉄人っぷりを誇った。

 ところが今季は始動日からチームに合流しておらず、新体制のメンバーリストにも名前がない。母国ブラジルの報道によると、中国からのオファーが届いているという情報があり、退団の可能性が高いとみられる。そこで重要性を増すのが新戦力の働きだろう。鹿島はFWレアンドロもFC東京に期限付き移籍しており、ちょうど2人が入れ替わる形となった。

 ストライカーのエヴェラウドはメキシコ・リガMXのケレタロFCから加入。かつてはブラジル・セリエAのフィゲイレンセ、アトレティコ・ゴアイアニエンセで主力を担った経験を持つ。新体制発表会では「特長はパワーと瞬発力と決定力。自分自身はゴールを求められていると考えているのでゴールで助けられれば」と意気込みを述べた。

 またトップ下やサイドハーフでの起用が濃厚なJ・アラーノはインテルナシオナルからの移籍。昨季はセリエBのコリチーバで33試合5得点を記録しており、得点以外にも切れ味の鋭いドリブル突破で存在感を発揮した有望株だ。自身の特長は「機動力」だとし、「その中でラストパスも自分は武器だと思っている」と自信を示した。

 両選手とも新指揮官のザーゴ監督の下、チームに馴染む高い意識を見せているのが印象的だ。「まずは日本人選手とチームメートになれないといけない。唯一難しいのは言語で、それ以外は頑張ればなんとかなる」(エヴェラウド)。「早く日本の生活、環境、練習メニュー、チームメートに慣れることが大事」(J・アラーノ)。23日の記者会見ではそんな意気込みも聞かれた。

 さらに鹿島にはブラジルのレジェンドであるジーコ氏がテクニカル・ディレクターとして在籍しているのも大きい。両選手ともにまだ対面していないというが、次のように尊敬の念を語っていた。

「正直、僕の世代ではないが、僕より上の人から彼のことは色々と聞いている。僕より上の世代は彼がアイドルで、どれだけ凄いかは知っている。ブラジルでは誰もが彼を尊敬、尊重しているし、会う機会があれば嬉しく思う。何より素晴らしいのは彼が身近に座っていること。僕らの練習を見て助言をもらい、自分の成長につながれば」(エヴェラウド)

「ここ数か月の中で鹿島で彼がやっていたプレーを見たら、どれだけ凄いのかわかった。チームにどれだけ貢献していたのかわかった。ブラジルでは監督としても選手としても素晴らしい実績を残したが、ここでどれくらいのものを教えたのかが驚きだった。自分は彼の働きの半分くらい自分ができればいいかな」(J・アラーノ)。

 なおJ・アラーノの言葉には謙遜も交じるが、これはモチベーションの低さではなくジーコ氏への尊敬や彼自身のキャラクターからくるものだろう。意気込みを語る際には「自分のキャリアにとって最大の挑戦。クラブの大きさ、規模を考えたら断る理由はなかった」とクラブへのリスペクトを語った一方、「ピッチ内で貢献できればベストだし、貢献できなければチームメートの手助けになれれば」と謙虚さを示していたためだ。

 そんなブラジル出身の2選手はACLにも高い意欲を見せる。28日には本戦出場をかけた一発勝負のプレーオフを控えるが、「みんなで賢くやらないといけないし、勝つことに専念して全員でやらないといけない」(エヴェラウド)、「非常に楽しみだし、何がなんでも28日の試合を勝ち切りたい。そこで勝てばグループリーグに進めるし、これだけのビッグクラブは(アジアの)頂点に立たないといけない」(J・アラーノ)と必勝を強調。まずは今季最初の開幕戦で彼らの能力の片鱗がみられるはずだ。

(取材・文 竹内達也)


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