
日刊鹿島アントラーズニュース
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2020年1月12日日曜日
◆鹿島の「勝負強さ」はどこへ? 天皇杯も準優勝で昨季無冠。新体制で挑む変革の決意(REALSPORTS)

ジダン監督のリーダー論〜チャンピオンズリーグ3連覇の軌跡〜 [ フアン・カルロス...
2019年、すべてのコンペティションで優勝を狙える位置まで近づきながらも無冠に終わった鹿島アントラーズ。3年連続で国内主要タイトルを逃す結果となった。
勝負強さが売りだったはずの“常勝軍団”鹿島に何が起きたのだろうか。そして迎えた2020年、新たにどのような変化が起きつつあるのか?
(文=田中滋、写真=Getty Images)
天皇杯も準優勝で終わった鹿島に何が起きたのか?
現代サッカーは立ち位置をめぐる戦いである。ボールを自陣から運ぶビルドアップも、ゴール前を崩すためのポジショニングも、プレスの罠にはめるための位置取りも、相手より優位な立ち位置を確保することで、自分たちが狙いとする攻撃や守備をピッチの上に描いていく。
その意味で、天皇杯決勝は象徴的な戦いだった。3-4-3の布陣を敷くヴィッセル神戸は、4-4-2の鹿島アントラーズの守備を組織的に分断していく。常に2つ以上の選択肢を迫る位置を取り、鹿島がマンマークの色合いをハッキリさせればさせるほど必ず空く選手が生まれる形をつくった。
鹿島が喫した2失点は、いずれも不運な形だったかもしれないが、1失点目は自陣右サイドの深い位置で1対1の形をつくられ、2失点目は自陣に押し込まれたあと素早く左サイドに展開されたところから鋭いクロスを許したもの。いずれも守備組織は崩されており、ゴール前は2対2もしくは3対3の形になっており、鹿島の攻撃が、神戸守備陣をゴール前から引き剥がせなかったのとは対照的だった。
これで2019シーズンの鹿島はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)がベスト8、JリーグYBCルヴァンカップをベスト4、明治安田生命J1リーグが3位、天皇杯を準優勝で終わることとなった。すべてのタイトルで惜しいところまで迫りながら、すべてのタイトルを逃す結果となった。勝負強さが売りだったはずの鹿島に何が起きたのだろうか。
古き良き“ブラジル流”の限界
いくつもの要因が考えられるなかで、最も大きなものは避けようのない時代の変化だ。サッカーそのものの変化と言ってもいいかもしれない。
Jリーグができて27年。鹿島はジーコの教えを忠実に守ることで、他に類を見ないクラブをつくりあげてきた。その間に、鹿島が獲得したタイトルの数は20。国内19冠に加え、2018年にアジアチャンピオンに輝いた1冠を加えた20というタイトル数が、このクラブの歩みが正しかったことを証明する。
しかし、時代は変わった。クラブの強化責任者である鈴木満フットボールダイレクターは、その変化を強く認識する。
「サッカーそのものも変わってきている。ジーコがいたこともあって、これまではブラジル流を重視しながらやってきたところはあるけど、今のサッカーはヨーロッパが中心になってきている」
ブラジル流とは、すなわち選手の能力や判断を生かすサッカーのこと。個性のある選手を集め、彼らの独創性やインスピレーションを融合させたサッカーは再現性が低いものの、選手の意図が噛み合ったときの攻撃力は高い。次から次にタレントが生まれてくるブラジルにならい、鹿島も個性のある選手を集め、特に攻撃面では彼らの即興性に任せてきた。たとえ相手に押し込まれる展開となっても、90分も時間があれば、相手が見せた隙を突き必殺の攻撃を繰り出せる絶対の自信があった。
必然的に、守備意識は高くなる。自分たちの流れが来るまで相手にゴールを許さないためには、全員が一致団結してゴールを守ることが重要だった。球際の意識が強調され、結果が出なければ「相手のほうが戦っていた」「球際で負けていた」と結論づけられた。
ところが、いくら球際の意識を高く持っても試合を優位に運べないことが多くなる。2019シーズンの開幕戦では、昇格組の大分トリニータに1-2で敗れたが彼らは鹿島の守備を剥がすために周到な準備を重ねてきた。また、その他の試合でも対戦相手にポゼッションを握られる試合が多くなり、特に川崎フロンターレにはまったく勝てなくなっていく。2017シーズンから公式戦の対戦成績は1勝4分5敗と圧倒的に負け越す。つまり、適切な立ち位置を取ってくる相手に手も足も出ないことは、天皇杯決勝で完敗を喫する以前から見られていた。
それでも選手の個性が噛み合ったときはまだ強く、4つのコンペティションで勝ち進むことができた。ただし、選手同士の即興性は選手のコンディションや構成メンバーの個性と相互理解の深さに左右されやすく、同じメンバーが組めなくなると少しずつ歯車が狂い出す。
ACLの広州恒大戦では、敵地でアウェーゴールを奪えず、ホームでもうまくゴール前をこじ開けることができない。ルヴァンカップでは立ち位置に優れた川崎の前に手も足も出ず完敗。せめてリーグタイトルを、と臨んだリーグ終盤戦だったが、試合内容の薄さが自信の欠如を生む。勝ちきれない試合が続き、優勝争いから脱落。最後に残された天皇杯も、強烈な個性と明確なゲームプランが組み合わさった神戸に、頂点を譲るのは妥当な結果だった。
日本を代表するサイドバックが揃った新陣容
どのようにゴールに迫り、どのようにゴールを奪うのか。ゲームプランを明確に掲げたチームづくりはJリーグでもスタンダードになりつつある。トレーニングの段階からそうした共通の絵をチームや選手にどれだけ落とし込めるのか。ピッチ上の勝敗を左右するのは、選手のイマジネーションだけでなく、それ以前にチームとしてどれだけ準備を積んできたかに移りつつある。
2019シーズン、鹿島は親会社の変更など多くの変化が訪れた。ただ、ここまでの動きを見る限り、新シーズンはさらに一歩踏み込むことになるだろう。
新監督にはアントニオ・カルロス・ザーゴが就任する。ヨーロッパのASローマやシャフタール・ドネツクでアシスタントコーチを務めた経験もあるザーゴは、少し成績不振が続くとすぐに監督がすげ替えられ若手監督が育たないブラジルのなかでも異色の存在。主導権を持って戦うゲームモデルを、トレーニングのなかで落とし込める力を持ち、「主導権を持って、主体性を持ったサッカーに変えていきたい」(鈴木満フットボールダイレクター)という、鹿島が求める監督像に合致する人物である。
安西幸輝がポルトガルのポルティモネンセに移籍したあと、大岩剛前監督も選手起用に頭を悩ませたサイドバックに補強を敢行。ベガルタ仙台から永戸勝也、横浜F・マリノスから広瀬陸斗、湘南ベルマーレから杉岡大暉を獲得。安定してタイトルを獲得した時代には、相馬直樹・名良橋晃、新井場徹・内田篤人、山本脩斗・西大伍と、必ず日本を代表するサイドバックが揃っていた陣容を取り戻す。
ブラジル人選手もレベルアップ。センターFWのエヴェラウドやフアン・アラーノは、かつてであれば手が出ないレベルの選手だろう。
クラブのなかに生まれ始めた新たな変化
1990年代半ば、バブル崩壊にともないJリーグ全体が縮小傾向に向かうなかで、鹿島はそれと逆行してレオナルドやジョルジーニョといった世界的選手を獲得した歴史がある。そこで常勝のブランドを確立させたことが現在の礎となった。
当時のように赤字覚悟の出資、ということではないだろうが、親会社がメルカリになったことで、クラブの姿勢も180度変わろうとしている。
「小泉(文明)社長からは『勝つためにはこれだけ必要、というのをまず言ってほしい』と言われている。これまでの殻を破っていかないといけないと感じている」(鈴木満フットボールダイレクター)
つまり、決められた予算のなかで人件費を算出し、そのなかに収まる選手を獲得しなければならなかったクラブ運営のやり方は過去のものになった。本気で4つのタイトルを獲得するために必要な予算を算出し、そこに向かってクラブ全体が努力していく形になってきた。
とはいえ、メルカリが選手獲得に必要な予算を肩代わりしてくれるわけではない。クラブ全体で利益を高める努力を積まなければならない。「ビジネスで得た資金をチームの強化に当てていく」(小泉文明社長)という基本姿勢に変わりはない。ただ、クラブのなかも如実な変化が表れている。
「働き方改革はすごく進んでいる。会社全体で変わった感じもすごくあるし、4カ月でこんなに変わるのかというくらい変わってきてる」(鈴木満フットボールダイレクター)
タイトルを取ることで選手を引きつけ、サポーターを引きつけてきた鹿島。“常勝鹿島”という立ち位置までも手放してしまうと、クラブの存続が危うくなる。
2003年から2006年まで、過去4年間国内タイトルから見放されたことがあったが、2017、2018、2019と3年間国内の主要大会で優勝から遠のくのは、それに続く不名誉な記録である。遅まきながらも現代的な姿に生まれ変わろうとする選択は、鹿島にどんな結果をもたらすだろうか。
<了>
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