◆明治安田生命J1リーグ第10節 徳島0―1鹿島(17日・ポカリ)
鹿島は、U―24日本代表DF町田浩樹(23)の決勝点で徳島を1―0で下した。14日に解任されたザーゴ前監督の後を受け、就任した相馬直樹新監督(49)の初陣を、今季初の完封勝利で飾った。横浜Cは終盤に仙台に追いつかれ、2―2の引き分けで今季初白星はならず。福岡は1―0でF東京を退け、今季3勝目。柏は日本代表MF江坂任(28)の決勝弾で、1―0で大分に競り勝ち、湘南―神戸は0―0の引き分けに終わった。
鹿島らしさが垣間見えた。前半31分、右CKから決めたDF町田の先制点を、しぶとく守り切り、今季初の完封勝利。厳しい守備で徳島を止め、ボールキープやパス回しで時計を進めた。ボール保持率は徳島の64%に対し、鹿島の36%。相手のサッカーが展開されても、試合後に笑っている。再起の1勝に相馬監督は「ミスがあっても、お互いが助け合った」と勝因を挙げた。
チームは14日にザーゴ監督を解任し、相馬コーチの監督昇格を決めた。2勝2分け4敗の15位。チームの低迷を脱却するための決断だった。相馬監督は「もう一度、強い鹿島を取り戻す」と表明。94~03年にプレーした指揮官は「はいつくばってでも勝ちにいく姿勢」「チャレンジャー精神」がクラブ創成期から伝わるアイデンティティーとし、今の選手たちにも求めた。
20のタイトルを獲得し、鹿島らしさは「勝負強さ」や「常勝」と捉えられるようになった。移籍組が増えたチーム内でもそうだったかもしれない。挑戦者でいるからこそ、自分たちの形だけではなく、相手の嫌がるプレーにまで考えが及び、リスクを最小限にとどめる選択ができた。勝っても勝っても挑戦者の考えを意識していたから特別な存在でいられたのだ。
2年連続でスタートダッシュに失敗した。シーズン途中の監督交代という血も流した。ただ、試合後、主将のMF三竿は「僕たちはチャレンジャーとして、次の試合に向けていい準備をしていきたい」と言った。切れかけていた伝統がつながる1勝になるかもしれない。(内田 知宏)
◆相馬 直樹(そうま・なおき)1971年7月19日、静岡県生まれ。49歳。清水東高から早大を経て、94年に鹿島入団。2004年に川崎へ移籍し、05年に引退。日本代表として98年フランスW杯に出場。左サイドバックを務め、国際Aマッチ58試合4得点。10年にJFL町田の監督に就任。11~12年に川崎、14~19年に町田の監督を務めた。175センチ、72キロ。血液型AB。
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