日刊鹿島アントラーズニュース

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2023年2月20日月曜日

◆真の姿を隠していた? 停滞ムードを払拭した鹿島の開幕白星スタート。“左サイドの知念”が果たした役割は非常に大きい(サッカーダイジェスト)



知念慶


知念は“鹿島イズム”の体現者


[J1第1節]京都0-2鹿島/2月18日/サンガスタジアム by KYOCERA

 真の姿を隠していた、ということか。

 宿敵の川崎からFW知念慶、広島から俊足アタッカーの藤井智也、J2町田からボランチの佐野海舟など、折り紙つきの即戦力を獲得。覇権奪回に向けて本気度を高める鹿島だが、シーズン開幕前のトレーニングマッチやプレシーズンマッチではJ2の徳島、岡山、町田、東京V、水戸といった相手に対して勢いづくような結果を得られず、チームの仕上がり状態に疑問符がつけられた。

「実際、どうなのか?」

 こう世間をざわつかせていたが、敵地で迎えた京都との開幕戦に快勝し、停滞ムードを払拭した。

 ふたを開けてみれば、それまでとは打って変わって、躍動感に溢れるパフォーマンスを随所に披露。些細なミスから何度かピンチになりかけたものの、前半のうちに奪った2点の優位性を生かし、冷静に試合を運んだ。

 最終ラインからボールをつなぐ意識の高い京都に猛烈に圧力をかけ、かたやカウンターに対するリスクマネジメントも両CBの植田直通と関川郁万、アンカーに入った佐野を中心に整え、盤石の勝利を見せつけた。

 昨夏、コーチから内部昇格し、チームの指揮を託された岩政大樹監督は「すべての選手たちが素晴らしかった」と健闘を称えつつ、次のように付け加えた。

「開幕前に、いろいろトライしてきたことがあるけれど、結果が出ないと、なかなか外に伝わらない。それが(開幕戦の勝利によって成果として)証明できた。攻守両面で、チームみんなの判断基準が揃ってきたと感じている」

 4-3-3システムを基調にした開幕スタメンの顔ぶれは、想定の範囲内だったかもしれない。ただ1点、センターフォワードタイプの知念が3トップの真ん中ではなく、左サイドに位置していたのは軽い驚きだった。試合の流れのなかで、真ん中の鈴木優磨と臨機応変にポジションを入れ替えながらプレーしていたものの、今回の起用法の着想について、こう指揮官が明かしている。

「新チームの立ち上げから知念の左サイドというアイデアはあった。川崎でもやっていたし、どこかのタイミングでプレーさせたいと考え、(開幕戦の1週間前から)準備していた。今のチーム状況を含め、同じようにやるよりも気分が変わるのではないかというところもあった」

 34分に追加点を奪っただけではなく、逆サイドの藤井からのクロスに入っていく狙いやターゲットマンとしての働き、守備面での献身など、“左サイドの知念”が果たした役割は非常に大きい。

 試合途中のシステム変更に伴い、2トップの一角に入ったりしたが、交代までの81分間、高い集中力と熱量を維持しながら、ひたむきに戦う姿は“鹿島イズム”の体現者に映った。

 開幕戦の勝利は同じく勝点3ながら、「34分の1以上の価値がある」と、岩政監督や選手たちは口をそろえ、白星スタートに自信を深めた。とはいえ、手放しで喜んでいるわけではない。次節は優勝候補のひとつに挙げられる難敵・川崎とのホームゲーム。新たに生まれ変わろうとする鹿島の今季を占ううえで、試金石というべき重要な一戦が早くも待っている。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)




◆真の姿を隠していた? 停滞ムードを払拭した鹿島の開幕白星スタート。“左サイドの知念”が果たした役割は非常に大きい(サッカーダイジェスト)






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