【セスノック(オーストラリア)原田公樹】9日に開幕するアジア杯で連覇を目指すサッカーの日本代表は6日、練習をキャンセルし、選手たちは合宿9日目で与えられた初の休養日を広大なホテルの敷地で、それぞれゆっくり過ごした。インフルエンザでチームと離れ、東京都内で療養中だったMF柴崎岳(22)=鹿島=がこの日、オーストラリア入りし、チームに再合流。「(初戦には)十分に間に合うと思う」と話し、今後のコンディション調整に自信を示した。やはり体調不良で宿舎で静養中だったFW豊田陽平(29)=鳥栖=も全快し、柴崎とともに当地で軽い調整を行った。
すっかり完治した柴崎が、常夏のオーストラリアへ到着した。
「遅れましたが、しっかりやりたい。十分に間に合うと思う」
国内合宿中の1日に発熱し、インフルエンザと診断されたことで、都内の宿舎に強制隔離。チームの移動便だった2日発の航空機には乗れなかった。それでもアギーレ監督は、選手の入れ替えを行わなかった。
昨年9月、日本の指揮官就任後初の国際親善試合シリーズで柴崎を招集。第2戦のベネズエラ戦で先発させると、その記念すべき代表デビュー戦で、柴崎はゴールを決めた。そんなゴールデンボーイを簡単に諦めるはずはない。
柴崎自身もアジア杯に向けて、こう話す。「初の公式戦なので、特別な思いがある」
柴崎はこのアジア杯に備え、相当に自らを追い込んだ。シーズン終了後、2季連続で全リーグ戦に出場した体にむち打って、鹿島でのチームメート、西大伍らと東京・有明でミニ合宿を張った。さらに沖縄へ飛び、自主トレも敢行。代表キャンプが始まる昨年12月29日直前まで走り込んだ。
2013年7月の東アジアカップで日本代表に招集されながらも、体調不良で辞退。チャンスを逃した苦い経験がある。昨年9月の代表デビュー戦後も10、11月のAマッチでは力を出し切れず、中盤の定位置をベテランの遠藤に奪われた。背番号も当初の「7」を遠藤に譲り、自らは「20」を背負うことになった。だからこそ、今回は万全の準備をして臨んだが、オーバーワークになって免疫力が下がり、インフルエンザにかかりやすくなっていたのかもしれない。
裏目に出てしまった格好だが、結果的には3日間の“欠席”のみで、チームに再合流できたのは不幸中の幸いだ。
「僕は何試合も代表経験があるわけじゃない。だからフレッシュな気持ちで大会を迎えられる。やってみなきゃ分からないこともあるけど、しっかり適応して、勝利に結びつけたい」。ここからが本格的な戦い、長丁場。柴崎はシーズン後の西らとの「追い込み」がこの大会で力になって現れると信じている。