日刊鹿島アントラーズニュース
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2017年8月6日日曜日
◆2017明治安田生命J1リーグ 第20節(オフィシャル)
明治安田J1 第20節
濃霧の激闘で、土居と鈴木が決めた!鹿島が仙台を撃破、カシマで完封勝利!
8月の幕開けを告げるホームゲームで、鹿島が連勝街道を走り始めた。J1第20節、カシマスタジアムにベガルタ仙台を迎え撃つと、濃霧が立ち込める中で難しい戦いを強いられたが、前半アディショナルタイムに土居が強烈なシュートを突き刺すと、後半終了間際には鈴木がゴールネットを揺らした。2-0と完封勝利を収め、勝ち点3を獲得した。
1週間前、鹿島はJ1再開戦となった甲府との一戦を3-0で制した。前半は甲府の守備を攻略できずに苦しめられたが、後半開始早々にレアンドロのスルーパスに抜け出した金崎が左足シュートを決めて先制。さらに途中出場の鈴木が右足ボレーで押し込むと、終了間際には安部がJ1初得点を挙げて勝利を決定付けた。ストライカー2人のゴール、そしてルーキーが刻んでみせたスコアに、カシマスタジアムのボルテージは最高潮に高まった。とはいえ、手放しで喜べる勝利とは決して言えなかった。らしからぬミスでピンチを招いた昌子を、大岩監督は試合直後のロッカールームで厳しく叱責。それは個人を超え、チーム全体に鋭く刺さったメッセージだった。現状に満足せず、進化を追い求め続ける日々に終わりはない。
試合翌日のオフを挟み、31日に練習を再開したチームは仙台戦に向けて準備を進めていった。大岩監督はボールポゼッションのトレーニングに多くの時間を割き、「仙台戦だけでなく、今後も自分たちが主導権を握って試合を進めていきたい。自分たちがボールを握っている時のバリエーションとコンビネーション、その精度をもっともっと上げていかないといけないと思っている」と、意図を説明した。指揮官の打ち出した指針にブレはない。切磋琢磨の日々に身を置きながら、輝きを放つ若武者の存在もチームに刺激を与えている。そのうえで「目に見えないところで、支えてくれている選手がいる。そういう力があるからこそ、若い選手が思い切ってやれているのではないかと思う」と、大岩監督は経験豊富な面々の貢献に言及することも忘れなかった。
3週連続でのホームゲーム、そして3連戦の幕開けを告げる90分。連勝街道を走り始めるべく、背番号12が続々とカシマスタジアムへ足を運んだ。夏場の連戦へ挑む選手たちを鼓舞するように、大きなチームコールがピッチへと降り注がれた。勝利への渇望と情熱が鹿嶋の空に響き渡る。今夜も、歓喜をともに――。聖地のボルテージは、時間を追うごとに高まっていった。
「この試合のためにベストメンバーを組んでいるし、連戦ということも当然、考えている」と言う大岩監督が選出した先発メンバーは、甲府戦から3名が入れ替わっていた。右サイドバックに伊東が指名され、J1通算50試合出場を達成。ボランチの一角には小笠原、右サイドハーフには遠藤が復帰し、ミドルゾーンを形成して必勝を期す。その他、GKは曽ケ端、最終ラインは伊東とともに植田、昌子、そして左サイドには西が入る。ボランチは小笠原と三竿健斗のペアで、2列目は遠藤とともに中村が先発出場。そして2トップは前節から引き続き、土居と金崎がコンビを組む。ベンチに座るのは、GKの川俣と山本、ブエノ、レオ シルバ、レアンドロ、安部、鈴木というラインナップだ。
18時33分、キックオフのホイッスルが鳴り響いた。立ち上がりから、ボールポゼッション率を高めたのは鹿島だった。指揮官が試合前に語っていた通り、敵陣に押し込んでパス交換からゴールを狙う時間が続いていく。全選手が自陣に引くことも辞さない仙台に対し、焦れることなくボールを動かしてチャンスを窺っていった。8分には金崎が左サイド深くで起点を作り、左足でクロス。ファーサイドの遠藤が飛び込み、ヘディングでシュートを狙った。
15分を経過しても、鹿島がボールを持つ展開は変わらない。16分にはペナルティーエリア手前でパスを受けた中村が右足で狙い、枠を捉えたものの、相手GKにキャッチされた。18分には伊東が深い位置まで果敢にオーバーラップ。グラウンダーのクロスは相手にカットされたものの、「自分しか持っていないものがチームの武器になればいい」と語っていた背番号24がゴールへの意欲を示してみせた。
スコアレスのまま、20分を経過。上空に立ち込めていた霧が深みを増す中、次第に視界不良の色は濃くなっていった。24分、審判団はカラーボールの使用を決定。オレンジ色のボールを使って試合が続行されることとなった。だが、30分には主審がプレー中断を指示し、数分間の審議の末に試合続行を決定するなど、濃霧の影響を受けながら時計の針が進んでいった。
ピッチの反対サイドが見えにくくなるほどの濃霧が立ち込め、大岩監督が常日頃から口にしている“対応力”を問われる戦いとなった。40分には一瞬の隙を突かれ、仙台の三田に強烈なミドルシュートを打たれてゴールを襲われてしまった。それでも鹿島には、どんな状況でも動じることのない守護神がいる。曽ケ端が横っ飛びで弾き出し、クリーンシートを保ってみせた。
ビッグセーブでピンチを逃れた鹿島は8分後、濃霧を切り裂く一撃を突き刺す。公式記録では前半アディショナルタイム3分。主役を演じたのは、背番号8だった。中村が敵陣右サイドでボールを持つと、トラップから鮮やかなスルーパスを繰り出す。まるで時が止まったかのような、独特なタイミングで放たれたアシスト。そこへ反応した土居は、ペナルティーエリア右側から迷うことなく右足を振り抜く。「思いを込めて突き刺した」という強烈なシュートがゴールネットを揺らした。1-0。土居の今季2得点目で、鹿島が力強くリードを奪った。
ハーフタイムを終えても、聖地を覆う濃霧は晴れなかった。51分、鹿島は遠藤がペナルティーエリア手前から左足を振り抜いたが、ミドルシュートは惜しくも枠の上へ。57分には右CKのこぼれ球から植田が狙う。至近距離から放たれた一撃は、右ポストに阻まれてしまった。鹿島は濃霧をものともせず、後半も仙台ゴールへ迫っていった。
しかし、61分。審判団は再び試合中断を決めた。難しい状況に置かれた選手たちは「互いに声を掛け合って、集中力を切らさないようにしていた」と昌子が振り返ったように、勝利という任務だけを見据えて身体に熱を送り続けていた。ともに戦う背番号12もまた、情熱を声に乗せてピッチへと送り続けていた。チーム一丸で戦う、濃霧の激闘。そして、約9分間の審議を経て、プレーが再開されることとなった。
残り時間を場内表示で把握できない状況で、試合運びは決して簡単なものではなかった。仙台が前線にクリスランを投入してきたことで、ロングボールからゴール前へ迫られる場面も増えていった。それでも鹿島は、昌子と植田、そして曽ケ端を中心とした守備陣が集中力を保ち続け、身体を張って仙台の攻撃を封じていく。大岩監督に期待と信頼を託されてピッチへ送り出された鈴木と安部も、勇敢な突破とシュートを連ねて存在感を示してみせた。
1点差を保ったまま、後半もアディショナルタイムへ。すると、勝利への予感を確信に変える、待望の2得点目が決まった。金崎がペナルティーエリア手前からループパスを繰り出すと、走り込んでいた鈴木がトラップから左足を一閃。背番号9のシュートがゴールネットを揺らすと、歓喜が爆発した。
2-0。濃霧の激闘を完封で制した鹿島が、勝ち点3を掴み取った。次戦は8月9日、第21節の神戸戦だ。中3日で迎えるアウェイゲームに向けて、そして連勝街道を力強く走り続けるために、チーム一丸で準備を進めていく。
【この試合のトピックス】
・今季の仙台戦は2戦2勝となった。ホームでの勝利は2年ぶり。
・大岩監督就任後、J1で8試合負けなし(7勝1分)となった。天皇杯を含めると、公式戦10試合負けなし(9勝1分)。
・今季のJ1ホームゲーム11試合目で、6勝目を挙げた。
・鈴木がJ1で2試合連続となる今季4得点目を挙げた。
・土居が今季のJ1で2得点目を挙げた。
・伊東がJ1で7試合ぶりの先発出場を果たし、通算50試合出場を達成した。
・遠藤がJ1で2試合ぶりの先発復帰を果たした。
・小笠原がJ1で3試合ぶりの先発復帰を果たした。
監督コメント
[ハーフタイム]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
・守備の時、ファウルに気を付けてしっかりとした良いポジションからアプローチすること。
・ビルドアップではボールを蹴るときにもっと角度をつくって、しっかり受けよう。
・オレンジのボールでいつもと感覚が違うかもしれないが、テンポよくボールを動かし、スイッチを入れるタイミングを考えていこう。
ベガルタ仙台:渡邉 晋
・ボールホルダーへはしっかり寄せること。
・奪ったボールは確実につなぐこと。
・ねばり強く戦えばチャンスは必ず来る。
[試合後]
鹿島アントラーズ:大岩 剛
いろいろなことがあって少し難しくなってしまった。選手は最後までよく集中したプレーを見せてくれた。クリーンシートで終われたことはもちろん、締まったゲームができたと思う。
Q. 霧の影響はどう感じていたか?また、こういった状況で大切なことは?
A. スタンドから見ていた人はほとんど見えなかったと思うが、ピッチレベルでもベンチから逆サイドはまったく見えない状況だった。こちらから何かアクションを起こすのは難しい状況だった。中断したとき、選手たちから「再開したときが大事だぞ」という声が出ていた。中断中も選手たちが集中を切らさないことが重要であり、それができていた選手たちをほめたいと思う。
ベガルタ仙台:渡邉 晋
突然の霧でいろいろなことが起きたゲームだった。こういったコンディションのなかで最後まで声援を送ってくれたサポーターに心から感謝したい。対アントラーズということで、攻撃でも、守備でも狙いをもって準備をしてきた。実際に前半はほぼ狙い通りのプレーができていた。前半のロスタイムに本当に一瞬の隙を与えてしまった。その隙を突くか与えるかの勝負だと考えていたが、本当に痛い、悔しい1点を先に与えてしまった。後半しっかり仕切り直してやってくれた。中断もあったが、盛り返した力を次節以降につなげていきたい。
選手コメント
[試合後]
【土居 聖真】
パスのタイミングも、最終ラインとの駆け引きも良かった。だいぶ、思いを込めましたね。ホームでも全然、点を取れていなかったので。サポーターの皆さんからの「取ってくれ」という思いが伝わっていた。やっと結果につなげることができて良かった。
【鈴木 優磨】
夢生くんがいいボールをくれた。裕葵の活躍は若手に刺激を与えてくれている。(中断は)初めての経験で気持ちの面では難しかったけど、勝てて良かった。
【昌子 源】
相手のクリアボールがどこに落ちても対応できるように、常に準備をしておこうと思っていた。クリスラン選手が入ってきてからはロングボールが増えたので、対応は少し難しくなった。聖真は最近、点を取れずに苦しんでいたし、同期が決めて勝たせてくれたのは嬉しい。
【伊東 幸敏】
(試合が中断した時は)満男さんをはじめとして、みんなで「切らすな」と声を掛け合っていた。それもアントラーズの強さだと思う。
【曽ケ端 準】
(霧の影響で)オフサイドが分かりにくかったけど、聖真のゴールはまだ見えていた。CKがあったら嫌だなとは思っていたけど、気にはならなかった。しっかり勝ち続けていきたい。みんなでしっかり、良い準備をするだけ。
【三竿 健斗】
緊張感のあるゲームだった。霧の状況は相手も同じ。みんなが集中してやれていたので、影響はなかった。(個人としては)理想の形で駆け引きをしてボールを奪い切ることができて、マイボールにできていた。評価していいと思う。後ろにいいお手本がいるので、日頃の練習での挑戦が生きている。
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