[12.15 クラブW杯準々決勝 鹿島3-2グアダラハラ アルアイン]
個人としてもチームとしても修正力を見せた。攻守にいいところなく、1点ビハインドで折り返した前半。鹿島アントラーズDF内田篤人は「前半、俺も全然良くなくて、ボールが足におさまらなかった。後半、しっかりやらなきゃなと思っていた」と振り返る。
左サイドを個人に突破され、先制を許した前半3分のシーン。DF昌子源、DF山本脩斗の2人がかわされ、数的不利に陥ったゴール前で対応することになった内田はクロスに対して「もともとのマークを外してニアに行った。人に行くか、ニアに行くかと思ったけど……。うまいね、ああいう駆け引きは」とニアに飛び込んだが、ボールは頭上を越え、背後でフリーになった相手選手にヘディングシュートを決められた。
「強いな、いいチームだなと思った」。グアダラハラの勢いに押された前半はよく1失点で済んだと言えるような内容だった。それでもGKクォン・スンテが好セーブを見せ、クロスバーに救われる場面もあり、0-1でハーフタイムを迎えると、「1点取れば変わるな」と冷静だった。「2点目を取られたらやばい。ボールに行くというより、ブロックをつくったほうが守りやすいなと思った」と立て直し、相手の運動量が落ちたこともあって後半に一挙3点を奪って逆転した。
苦しみながらも初戦を突破し、19日の準決勝では欧州代表のレアル・マドリー(スペイン)と対戦する。2年前の決勝では延長戦の末、惜敗。当時、内田はいなかったが、シャルケ時代の13-14シーズン、14-15シーズンと2年連続でUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)の決勝トーナメント1回戦でレアルと対戦している。
内田が負傷離脱中だった13-14シーズンは第1戦が1-6、第2戦が1-3という完敗。翌14-15シーズンもホームでの第1戦を0-2で落とすと、アウェーでの第2戦は4-3で勝ったものの、2試合合計4-5であと一歩及ばなかった。内田は第1戦にフル出場。第2戦は後半36分からの途中出場だった。
「追い詰めたけど、勝てなかった。やっぱり勝てないなと思った。(10-11シーズンの欧州CL準決勝で敗れた)マンチェスター・ユナイテッドもそう。その2チームには勝てねえなと思った」。そう振り返る内田は「そのリベンジのチャンスというのは正直、期待していなかった」と率直に言う。「スペインに行くか、チャンピオンズリーグに出るかしかない」と思っていたレアルとの再戦。それが鹿島復帰1年目にクラブW杯で実現した。「チャンスをみんなでつかんだ。ここまで来れたのは感慨深い」。ポーカーフェイスの奥で闘志に火を付けた。
(取材・文 西山紘平)
◆CLのリベンジは鹿島で…レアルとみたび対戦の内田篤人「感慨深い」(ゲキサカ)