◆◆サッカーダイジェスト / 2019年11月14日号
「もっとこうしておけば良かったという後悔はある」
[天皇杯準々決勝]鹿島1-0Honda FC/10月23日/カシマ
ほろ苦い“初スタメン”だった。
Honda FCとの天皇杯準々決勝で、鹿島のルーキーFW有馬幸太郎が公式戦初の先発&フル出場を果たす。土居聖真と2トップを組み、最後までアグレッシブにプレーしたが、試合後は反省の言葉ばかりが口をついた。
「(ハーフタイムに)奪ったボールを収めてくれないとキツい、という話を受けて。後半、頑張ろうと思ったんですけど、なかなか上手くいかなくて。クリアボールとか、五分五分のボールを自分が収めないと苦しい試合展開でした」
最前線の基準点として、身体を張って懸命にポスト役をこなそうとする。キープして味方に預けるプレーもあったが、ただ本人が語るように、思うように収められず、攻撃を展開できない場面は少なくなかった。
また後半の途中には、敵陣の空いたスペースを突いてゴールに迫ったものの、相手DFに寄せられてイメージ通りのシュートシーンを作れない。
「ああいうチャンスは、その1本ぐらいだったと思う。もっとこうしておけば良かったという後悔はあります」
シュートわずか1本。FWとしては物足りない数字でアピールできたとは言い難い。土居の決勝点でHonda FCに1-0で競り勝ち、天皇杯で4強進出。チームとして結果が出たことに「ホッとしている」と胸をなでおろすが、自身としては満足に程遠い内容だったようだ。
この悔しい経験を次にどう活かすか。突きつけられた現実とどう向き合うか。いくらトレーニングを積んでも、実戦でしか分からないことはあるはず。ポストプレーについては「これからの課題の大きなポイント」と表情を引き締め、シュートチャンスに関しては「その1本を決めるために、練習から意識すること」と気合いを入れ直す。
タイトルを義務付けられた常勝軍団の一員として、今の自分がどのレベルにあるのか。何が通用して、何が足りないのか。それをピッチ上で知ることができた。間違いなく、プロとしての経験値は上がった。
小さな一歩かもしれないが、着実に前に進んだ。さらに飛躍できるかどうかは、自分次第。残されたシーズンで、確かな成長を感じられるような活躍を期待したい。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)