日刊鹿島アントラーズニュース

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2017年9月29日金曜日

◆サッカー元日本代表・岩政選手がJ5で現役にこだわる理由(TOKYO FM+)


藤木直人、伊藤友里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「TOYOTA Athlete Beat」。9月23日(土)の放送では、サッカー元日本代表の岩政大樹選手に話を伺いました。


岩政選手は、2004年に鹿島アントラーズに入団し、リーグ3連覇に貢献。鹿島黄金期を支え、2010年にはFIFAワールドカップ南アフリカ大会の日本代表に選出。退団後はタイリーグへと渡ったのち、J2・ファジアーノ岡山でプレー。現在35歳の岩政選手は、関東一部リーグの東京ユナイテッドFCで選手兼コーチ、 さらには東京大学サッカー部のコーチも務めるなど、その経歴やサッカー哲学が注目を集めています。


◆試合中の選手にブーイングは届いている?

藤木:岩政選手は現役でありながらコラムもお書きになられていて、中でも最も反響があったのが、ブーイングに選手が何を感じているのかだったそうですが。

岩政:選手たちは正直言って、試合中はスタンドでどういうことを喋っているのかほとんど聞こえないんです。

藤木:プレー中はそうですよね。

岩政:ですから、試合を観にきた家族とかから「すごい言われてたけど気にしてない?」とか言われるんです。何も聞こえてなかったのにむしろ言われることによって知るという……(笑)。ただ、そうは言っても選手たちはスタジアムのムードを感じ取るんです。観客が“期待している”のか“失望している”のか、雰囲気で感じるんです。ブーイングをしているかどうかはあまり関係ないんです。

藤木:そうなんですね。

岩政:ですからサポーターの皆さんが何をしているかよりも、どういう気持ちで試合を観ているのかというほうが選手たちに伝わっているということを(コラムに)書きました。

伊藤:熱い想いがちゃんと伝わっているんですね。

岩政:そうなんです。あの何万人という観客の空気によって、選手たちが“戦わなきゃいけない”ということを奮起させられ、“勝たなければ”とスタジアムの雰囲気で感じるんです。

◆岩政選手がJ5で戦う理由

藤木:現在、岩政選手が所属している関東一部リーグというのは、どういうカテゴリになるんですか?

岩政:J1から数えると5番目、J5に当たるリーグですね。僕以外、チームのみんなは社会人です。

藤木:となると実業団に近いイメージですね。輝かしい経歴がある岩政選手がJ5でプレーしようと思ったきっかけは?

岩政:「岩政じゃなきゃダメだ」と言ってくれたことに応えたかったのが一番ですね。J1、J2でプレーできるのはもちろん幸せなことですが、そこは競争の世界であり、僕じゃなくても次々と違う選手が出てきて……という紙一重の世界ですから。そこに残りのサッカー人生を充てても、あまり面白くないなと思って。今のチームがこれからJリーグを目指すにあたって、その土台作りをしたいと。そこに「岩政を呼びたい」と名指しでお話をいただいたので、やってみたいと思いました。

藤木:選手とコーチを兼任している岩政選手ですが、もっとも大事にしているものは何ですか?

岩政:僕はサッカーを論理的に突き詰めて考えるのがとにかく好きで。論理的に冷静に考えるところと、熱を持って情熱的にやるところ、これをバランス良く持っていたいというのは常に意識しています。

藤木:それって相当難しいことですよね?

岩政:バランスと中途半端を混同しないようにということを常に考えています。中途半端というのはどちらにもいこうとせず、自分の限界を決めてしまうことだと思うんです。でも、バランスというのは両方を持ち合わせていて、今の自分に合うもの、接する相手に合うもの、その試合に合うものをチョイスしていくということ。どちらにもいけるんだけど、今はこっちを選ぶというバランス感覚、それを持つように心掛けています。



◆日の丸を背負うということ

藤木:岩政選手は日本代表としても活躍されていましたが、やはり日の丸を背負ってプレーするというのは、また違うものなんでしょうか?

岩政:違いますね。選手としての出発点が無名でしたから(笑)。高校時代は全国大会に一度も縁がなくて、山口県の1回戦、2回戦で負けるレベルだったので。それがプロに入って競う選手たちは有名校やユースの面々ばかりで、ずっと劣等感があったんです。その気持ちが根強くて、なかなか払拭できなかったですね。

藤木:とはいえ、日の丸を背負って戦える選手は限られていますし、喜びもあったのでは?

岩政:もちろんありました。代表になって一番うれしかったのは、自分を育ててくれた両親や指導者が喜んでくれたことですね。

藤木:先日、日本代表が6大会連続ワールドカップ出場を決めましたけど、元日本代表の岩政選手から見ていかがでしたか?

岩政:苦しい試合もありましたけど、しっかりと勝ち切ってワールドカップに出るということは、どこの国でも難しいことですから。それを達成したのは見事ですし褒めるべきだと思います。

藤木:日本が目指すべきサッカーについてはいろんな議論がありますけど、岩政選手はどう思われていますか?

岩政:サッカーをやってる人間であれば誰しもあると思うんですけど……同じスタイルでずっと勝ち続けるっていうのはありえないんです。サッカーというのは、人生と同じようなもので波があるんですよ。いいことばかりしてるのに流れが悪くなるときもあれば、ワンプレーがきっかけで一気に流れが変わったり……どんどん移り変わるんです。

藤木:なるほど。

岩政:試合って常に我慢していれば勝ち筋が見えてきて、その勝ち筋によって戦い方を変えるんですよ。90分ある中で最初は一番理想の戦い方で試合に入るけど、大体うまくいかない。そうなったときに、そのやり方を通したってうまくいくわけない。そのときに何をするのか考えて行動できるのが成熟した選手。その判断の繰り返しで試合は成り立つので、先に自分たちのやり方をひとつに決めてしまうのはよくない。ピッチ内と、ピッチ外では、少し見え方が違うかもしれないですね。

藤木:ハリルジャパンで、チームを引っ張る選手は?

岩政:やはり経験がある選手のほうが引き出しが多いですから、長谷部(誠)選手、吉田(麻也)選手あたりが今チームを仕切っていると思います。サッカーは試合が始まって最初の15分で相手のやり方が大体見えてくるんですけど、先日のオーストラリア戦では、長谷部選手が相手の立ち上がりを見てやり方を変えたんじゃないかと。ずっと同じやり方を続けていると、相手も次の対策を練ってくるんですが、先に日本が手を打ったことによって、次の余波を収めることができたんじゃないでしょうか。そういう戦い方ができると90分をしっかりとデザインできるというか。自分たちのサッカーができると強いですよね。




【番組概要】
番組名:「TOYOTA Athlete Beat」
放送日時:毎週土曜10:00~10:50
パーソナリティ:藤木直人、伊藤友里
番組Webサイト:http://www.tfm.co.jp/beat/


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