徐々に鮮明になってきた“相馬カラー”
鹿島アントラーズは4月14日にザーゴ監督を解任し、相馬直樹コーチを後任に据えた。新体制となってまだ1か月も経っていないが、すでに6試合を消化。リーグ戦で3試合、ルヴァンカップで3試合。トータルの戦績は3勝3分。ひとつも黒星はなく、リーグでは前体制時の15位から10位に浮上し、ルヴァンカップでは1節を残してグループステージ突破を決めた。
着実にチームを上昇気流に乗せている相馬監督は、就任後まずは守備面の整備に着手。指揮を執った6試合のうち、クリーンシートは3試合。指揮官は「選手たちの理解力、応用力は凄い」と称えるが、自身の綿密な手腕があってこその成果であるのは間違いない。
守備の強化にフォーカスする一方で、では攻撃面に問題があるかと言えば、そんなことはない。ここまで無得点のゲームは皆無。6試合で計11得点を挙げている。
相馬監督は「今のサッカーでは、攻撃と守備は分けて考えられない」と語る。攻守一体。守備が改良されれば、攻撃にも好影響が出る。俗に言われる“良い守備から良い攻撃に”がピッチ上で表現されているようだ。
「守備がひとつ整理できたからこそ、攻撃のほうも自由度が上がったというか。自由度という言葉が正しいかは分かりませんが、ただ選手たちが“持っているもの”は本当にあると思うので」
守備の安定が個々の能力を発揮しやすい環境を整えた。その安定した守備の肝となるのが“コンパクトさ”だ。「守備をコンパクトにやれるようになったぶん、攻撃も多少コンパクトになった」。その結果、マイボールにした時に良い距離感を保てるようになり、まだ完璧ではないにせよ、よりスムーズな攻撃が可能となった。
攻撃力のブラッシュアップに直結する守備力の向上。徐々に鮮明になってきた“相馬カラー”に、これまでの上積みが重なる。
「元々、去年からやっているもの、ザーゴさんが植え付けたものも良い塩梅で出ていることで、点を取れているのかなと思っています」
噛み合い始めた歯車。じわじわと鹿島が本来の強さを取り戻しつつある。
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
◆守備の改良が攻撃にも好影響。そして前体制の上積み。歯車が噛み合い始めた相馬アントラーズの現在地(サッカーダイジェスト)