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小笠原満男が三竿健斗に期待するものとは? そして三竿が求める理想のプレーヤー像とは――。鹿島アントラーズの新旧キャプテンがチームに求められる『ボランチ』について語り合った。「KASHIMA ANTLERS YEARBOOK2020」に収録された特別対談の未公開部分を紹介する。
文◎池田博一 写真◎平岩亨(対談)、Getty Images
まだ、見えた世界で瞬時に判断しています(三竿)
考えられるようになったのは20代後半だよ(小笠原)
攻守の要を担うボランチとして、ともにプレーし、ライバルでもあった。
今シーズン、三竿健斗がアントラーズのキャプテンに就任したことで小笠原満男テクニカルアドバイザーとの共通点はまた一つ増えた。アントラーズのボランチであり、キャプテン。三竿と小笠原TAが今、本音をぶつけ合う。
鹿島アントラーズイヤーブック2020の対談で掲載しきれなかった未公開部分を紹介する。
◎
――三竿選手は「チームを勝たせられる選手」を目指しているとよく口にします。
三竿 口で言うのは簡単だけど、やるのはすごく難しくて……。
小笠原 プレーの瞬間のことを、後で振り返るのはなかなか難しい。例えば健斗だったら、ボールを取れるという瞬間はすごく感覚的な面で持っている。そこは誰にも負けない。あまり褒めてもあれだから一つ言うと(笑)、今は遅攻すべきか速攻すべきか、相手のどこから崩すか、どういう縦パスを入れたら相手が嫌だとか、そういうのをもっと学んでほしい。
あとは、センターバックの前に残って、相手の攻撃の芽をつむことはできているんだから、さらに怖い選手になるために、前線に出ていってゴールやアシストという数字を残せるようになってほしい。ミドルシュートもそうだし、身長があるからセットプレーでのヘディングだったり、アシストだったり、アシストの一つ前だったり、サイドチェンジだったり、というのをズバズバできるようになるといい。もっともっといい選手になってほしい。
そうすれば自然と代表も見えてくると思うから。
三竿 実際に僕自身、試合中にチーム全体のことを考えられているかといったら、まだまだ全然考えられていないと思っています。自分がどうボールを奪うかとか、ボールを受けたときにどうする、という自分の周りのことしか考えられていない。
だから相手に対して、考えて崩しているとか、考えてサイドチェンジしているというよりは、自分の状況を悪くしないように、見えた世界で瞬時に判断している感じ。まだ相手のどこにスペースがあって、相手がいま勢いがなくなっているとか、そういうところまでは深く考えられていないから……。
小笠原 それは俺も24歳のときは分からなかったなあ。
――小笠原TAは、現役の終盤には「将棋のように試合を捉えるようになった」と話していましたね。
小笠原 そうだね。でも、俺は20代後半くらいだったよ。健斗は24歳ですごく考えられている。俺は24歳でここまで考えられなかった。
三竿 そんなことないですよ。
小笠原 これからもっともっとサッカーがおもしろくなっていくと思う。キャプテンになって、チーム全体を考えられるようになって、チームを俯瞰して見られるようになったら、さらにだね。
三竿 今はまだまだわからないですが……。
小笠原 今まで見えてなかったものが見えるようになってくるよ、だんだん。
――試合では様々な場面があります。一つひとつのプレーや選択を詰めていく作業が必要になりますね。
小笠原 まあ、あまり頭でっかちになって、そればっかりやるとうまくいかないから。徐々にでいいと思う。それはさ、ヤス(遠藤選手)とかがやればいい。
やっぱりまずは自分のことだよね。あまり背伸びして高いレベルを求めないでいい。だんだん見えてくるもので、みんなそうだから。24歳でそれが見えていたらすごいけど、そんな選手はいない(笑)。ただ、そろそろ見え始めてくると思う。ゲームの展開とか流れとかいうのが徐々にわかってくると思うよ。
三竿 満男さんでもそうだったんですね。ボランチとしては大事な部分ですよね。
小笠原 まだまだ成長できるよ。楽しみだね。