[3.14 J1第1ステージ第2節 川崎F2-2神戸 等々力]
簡単に受け入れることはできなかった。ヴィッセル神戸は1点リードの後半14分にFW大久保嘉人のゴールで追いつかれたが、ボールがゴールラインを割る直前にDF奥井諒がクリアしたようにも見えた。
大久保のヘディングシュートに対し、必死に戻った奥井はゴールラインぎりぎりでクリア。真上に蹴り上げたボールはクロスバーの下側を叩いて、ゴールライン上に落下し、ワンバウンドしたところをGK山本海人がキャッチした。
今村義朗主審はすでにボールがゴールラインを越えていたとして川崎Fの得点を認めたが、神戸の選手は今村主審、渡辺智哉副審に猛抗議。しかし、判定は変わらず、奥井は「納得していない」と語気を強めながらも「でも、言っても(判定は)変わらないから」と肩を落とすしかなかった。
DF岩波拓也が「審判も人間なのでしょうがないけど……」と言えば、DF高橋祥平も「(判定については)あまり言いたくない。悪口しか出てこないので」と言葉を濁すしかなかった。神戸の選手たちが判定への不満を隠せないのは仕方がないが、今季のJリーグでは開幕戦から疑惑の判定が目立つ。
7日のG大阪対F東京の試合では、ボールがゴールラインを割っていたように見えながら笛が鳴らず、一瞬、F東京の選手が足を止めてしまっている間に得点が生まれた。8日の清水対鹿島でも、MF遠藤康のシュートをゴールライン手前でDFがクリアしたように見えたが、得点となり、一方でMF金崎夢生のシュートがDF犬飼智也の腕に当たったシーンで笛は鳴らなかった。
ゴールラインをめぐる微妙な判定が相次ぐ中、2戦連発となった大久保は「ラッキーもあったと思う」と認める一方、「俺も誤審で退場になったことがあるけど、言っても(判定は)覆らない。抗議してもイエローカードが出るだけ」と、判定を受け入れるしかない現状を嘆くように持論を展開した。
「今日のような場面で逆を言われることもある。こういうことが問題になるなら、機械を入れればいい」。ボールがゴールラインを割ったかどうかを判断するゴールラインテクノロジーは昨年のブラジルW杯で導入されるなど、世界的には徐々に広がりを見せている。審判の技術向上は前提として、Jリーグでもテクノロジーの導入に関して議論が高まることにもなりそうだ。
(取材・文 西山紘平)